『阿部和重対談集』(3)

●今月の15日の日記に、『阿部和重対談集』で阿部氏が、女性の登場人物を描くために《例えば、女物の服とか着るわけですよ》と発言していることに対して、まるで「阿部和重の小説」みたいな滑稽な論理の飛躍があって面白い、ということを書いたのだけど、それは間違っていたのではないか、と、『細雪』を読み返していて思ったのだった。男性の小説家が女性の登場人物を描く時、「女物の服とか着る」くらいのことをするもはむしろ当然の努力で、それくらいしなければ決して谷崎潤一郎のように書くことなんて出来ないのだろうと感じたのだった。