●今日はゴダールの『アワーミュージック』を観に行こうと思っていたのだが、朝方から大江健三郎の『さようなら、私の本よ!』を読み始めていて、この小説を読んでいたら、無性にアルコールが欲しくなり(そういう小説だということは読めば分かると思う)、午前中からウイスキーをロックでちびちびと飲みつつ読んでいたのだけど、この小説は最近の大江氏の作品のなかでも特に充実したもので、夢中になって読んでいるうちに、知らぬ間にアルコールがすすみ、ふと気付くとかなりの量を飲んでいて、「かなりの量を飲んでいた」と意識したとたんに酔いが一気にまわり、そのまま眠ってしまって、途中に一度地震で起きはしたけど(この地震も夢かと思ったのだけどそうではないらしい)、目が覚めたらもう夜遅くになっていて、ゴダールはまたの機会に、ということになってしまったのだった。
●スーパーに買い物に行ったら、「サンつがる」という種類の林檎がワゴンに山積みになっていて、一個百円で売っていて、それがあまりに美しかったので、一個買って来た。サンつがるという種類の林檎は、「赤い林檎」というよりは、基本的に黄色い色が地で、その上に、まるで牛肉のサシのようにして赤が射している感じで、その黄色と赤の斑な対比と言うか、赤い色の下から黄色い色が透けている感じがとても美しいのだった。(小林正人が描いた林檎は、きっと「サンつがる」に違いない、と思う。)この林檎は今、パソコンの横に置いてあって、日記の文章を書いたり、ネットをみてまわったりする合間に、たまに手で持ってくるくる回して見て、その色や重さや手触りを味わったり、匂いをかいだりしている。