●歌舞伎町にある映画館(名前忘れた)で、タランティーノの『デスプルーフ』。途中では、いろいろと不満やひっかかりを感じるのだけど、最後のカーチェイスの気持ち良さで、それらがすべてどうでもよくなる。ひたすら気持ちがよいままで、それが損なわれる前に(余計な疑問が生まれる前に)スパッと終わらせるラストも見事だと思う。最後のカーチェイスの、きわめて単純な気持ち良さに全てを賭けることが出来たということは、つまりそれが可能であるという自身の技量に対する自信を持ち得たということなのだと思う。
ただ、そこに至るまでの展開に、(主に脚本家としての)タランティーノ的なかったるさが出てしまっているように思う。最初に、女の子たちのお喋りを延々と見せつづけるところは良いと思うけど、それをもう一度繰り返すのはどうかと思う。この、微妙な差異を含む反復が伏線にもなっているのだけど、それは、後から「構成」として頭に思いうかべるのなら、まあ、それもアリかと思えるのだが、実際に観ている時は、これは二度はもたないでしょう、と感じられてしまい、どうしても中盤がかったるい。そう感じるのは、二組目の女の子たちのキャラの描き分けがあまり上手くいっていないからかもしれない。(もっと簡潔な描写にした方がキャラが立つのかも。)細部にアート的なつくりこみをいろいろ工夫しているのは分るのだけど、それだけでは弱いと思う。(でも実は、ぼくが「かったるい」と感じる部分こそがウケているのかもしれないのだが。)
これはまったく好みの問題でしかないのだけど、ぼくには『ワルボロ』の方がずっと興奮できた。