ジュンク堂新宿店さんでやっていただける「古谷利裕フェア」のための本を選んでいたのだが、こういうことを、ああでもないこうでもないと考えていると、びっくりするくらいあっという間に時間が過ぎてしまう。だいたいの骨子は出来たのだが、自分でもゲッと思って引き気味になってしまうくらいに、強面の、難しそうな本ばかり(しかもいまどきの流行とは程遠い本ばかり)が並ぶことになってしまって、これはどうなんだろうと我ながら思う。でもまあ、第二期(7月28日から8月10日)に関しては、この方向で押してゆこうと思う(あまり売り上げに繋がりそうのない選書でこめんなさい、ジュンク堂様)。第三期(8月11日から8月31日)には、がらっと雰囲気がかわると思う。
それにしても、こういうことをしていて思うのは、日本の新刊を扱う書店で流通している画集の貧しさだ。事実上、今、新刊書店で普通に流通している美術全集みたいな本は、ほぼ、タッシェンという海外の出版社の日本支社が出しているものだけだと言ってもいいくらいなのではないだろうか。一昨年にイタリアに言った時に、例えば、ピエロ・デラ・フランチェスカのとても良い画集があっても、こんなにメジャーな画家なのだから、日本でも、いくらでも画集が手に入るだろうから、荷物にもなるし、あまりお金も持って行っていないこともあるしで、買ってこなかったのだが(実物の圧倒的なすごさを前にすると、画集など買う気がなくなってしまうのだ)、日本に帰って来てみると、いくらでもあるどころか、ピエロ・デラ・フランチェスカのまともな画集は一冊としてなく、愕然としたのだった。(イタリアに行って、圧倒的に素晴らしかったのは、ブルネレスキとピエロ・デラ・フランチェスカだった。)フィレンツェの本屋には、割りと安めの、薄っぺらい画集が(イタリア美術に限らず)だーっと並んでいて、こういうところが、日本とは全然違うのだなあと思ったのだった。