●『翼のない天使』(M・ナイト・シャマラン)をDVDで。『シックスセンス』以前のシャマラン。今の時点から振り返ってみれば、シャマラン的な主題をいくつも見つけ出すことは出来る(シャマランは徹底してアクションの人ではなく、徴候の人なのだ、とか)が、しかし、この映画だけを観るならば、あくまでウェルメイドに徹した、というような映画だった。新人が、この業界でやっていけるだけの実力があるということを、とりあえずはきっちりと見せた、というような。無理に感動させようとしたり泣かせようとしたりせず、淡々とエピソードを重ねてゆくところとか、好感が持てる悪くない作品だとは思うけど、この作品からは、後のシャマランの異様な発展を予測するのは困難だろう。「作家」は、はじめから存在するのではなくて、実際に「作品をつくる」という行為によって、それを通じて、徐々に存在しはじめる(狂ってゆく)のだ、ということだろうか。
シャマランのオリジナル脚本みたいだし、フィラデルフィアが舞台で、主人公の少年の両親が医者だという設定からも、シャマラン自身の自伝的な要素もかなりある作品だと思われるけど、そう考えると、シャマランは、すごくいいとこのお坊ちゃんで、大切に育てられた人なんだなあと思った。
●夏の晴れた日は、外にいるというだけでとにかく幸福なので、外にいる。河原は、土手の上の道からだと川が見えないくらいに雑草が茂っている。背も高く、密度も濃い。毎年、こんなに凄かっただろうか。ただ、体調がいまひとつなので、せっかくの光と緑の過剰を、きちんと受け止めきれない。