●立川シネマシティで『エアベンダー』(M・ナイト・シャマラン)。周囲から「つまらない」という話を聞けば聞くほど(そして、きっとその通りなのだろうと予想がついてしまうからこそなお)、本当にそうなのかを自分の目で確かめないと気になって仕方がないので、早速観に行った。それにしても、ぼくはいつからこんなにシャマランのことが気になるようになってしまったのか。以前はけっこう懐疑的だったはずなのに。
しかし、『エアベンダー』はなんとも言えない映画だった。目も当てられないほどに酷い出来、というのなら、まだ救われる気がするけど、中途半端に「それなり」なので、本当になにも言えない。シャマランはもう「これ」をやらなければ生き残れないような厳しい状況にあるのかなあ…、とも思った。
ただ、ぼくはファンタジーという形式が根本的に苦手で(単調な図式の反復的展開があるだけとしか思えないし、しかもそれが延々とつづいて終わらない-終われない)、例えばリンチの『デューン/砂の惑星』なども、何度観てもどこが面白いのか、どうしてリンチがこれをつくったのか、さっぱり分からない(信頼する人でこれが面白いという人がけっこういるので、何度もチャレンジしてはみるのだが…)。あるいは『ドラゴンボール』が面白いという感じがまったく分からない。だから、ファンタジーという形式に苦手意識がない人ならば、『エアベンダー』からシャマランの作家としてのリアルな刻印を見出すことも出来るのかもしれない。なにしろシャマランのここ十年のフィルモグラフィを遡行的にみてみれば、『アンブレイカブル』『サイン』『ヴィレッジ』『レディ・イン・ザ・ウォーター』『ハプニング』と、まったく外れなしで正確に「作家」として完璧な展開をみせているのだから、ぼくの感じ方が間違っていて、シャマランこそが正しいのかもしれない。そうであればよいと思う。