●『こどもつかい』(清水崇)をDVDで。清水崇は、『呪怨』があまりにも成功したために、ずっと『呪怨』シリーズの呪いに縛られてきたけど、基本的には、ホラーというよりもダークファンタジー(「恐怖」というよりも「怪奇」)の方に親和性の高い作家だとずっと思っていて(そのことは、ぼくの最初の本にも書いた)、おそらく本人にもその自覚はあって、しかし日本映画のなかではアニメ以外でファンタジーをつくるのは難しく(ファンタジーをつくってきたという歴史もあまりなく)、そのため、『戦慄迷宮』(2009年)とか『ラビット・ホラー』(2011年)くらいの時期から、外枠としてはホラーというジャンルを借りながらも、内容的にはファンタジーの方に意識的に少しずつ寄せるということをやっていたのだと思われる。だから、実写版『魔女の宅急便』の監督をやるというのも、唐突なことではなく、必然的なことだったのだろうということを、かなり大幅にダークファンタジー的な方向に寄せているこの映画を観て、改めて感じた。
清水版『魔女の宅急便』は観ていないのだけど(正直、あまり観たいとは思っていなかったのだけど)、この映画を観て、観てみたいと思った。
この映画、基本的にはすごく好きなのだけど、ホラー枠のなかでダークファンタジーの方に大きく寄せたために、ホラーとしてはややぬるく、ファンタジーとしてはややイメージが貧しい、という、どっちつかずの感じになっているように思ってしまった。話の仕掛けもちょっと単純すぎるかなあ、と。
(ホラーだと、低予算でも演出次第で怖くもなるし、説得力も出るけど、ファンタジーだと、お金をかけてある程度は豪華な絵をつくらないと白けてしまう感じになるので、その兼ね合いを常に探っている感じはあると思った。)
あと、清水崇は、『ラビット・ホラー』の満島ひかりとか、この映画の門脇麦とか、そういう感じの女優さん(どういう感じか具体的には上手く言語化できないけど)の使い方が上手いというか、キャスティングにこだわっているのだなあと思う。なんというか、こういう「闇を抱えていそうな雰囲気の人」が、中心にいるといないとでは物語の説得力が全然違ってくると思う。ホラー映画は基本的に低予算のジャンル映画だと思うので、主役は新人アイドルとか、テレビでやや名を知られているけど俳優が本業じゃない人(グラビア系の人とか)になるパターンがけっこう多い気がするけど、そこはかなりこだわっているのだろうなあと思った。