●深夜アニメ。「寄生獣」が18話目になって面白くなってきた。原作は知らないのだけど、ぼくはこの作品を特に面白いとは今まで思わなくて、とはいえ、オーソドックスにエピソードをきちんと積み上げてくる作りが「見やすい」感じなので今までずっと観つづけてきて、その一つ一つのエピソードは特にとりたてて面白いとも思えなかったのだけど、でも、それがここまで積み上がってきてはじめて見えてくる図柄が見えてきたという感じだった。こういう、ゆっくり立ち上がって、じわじわ展開して深まって行く話は最近ではめずらしいのかもしれない。
「SHIROBKO」は逆に、ネタ満載で展開がはやく、何か深刻な事態が持ち上がっても大抵次の回には解決してしまうという流れになっていて、これが良くも悪くも今っぽい感じで、どこを観ても面白いし、事件の解決を引っ張らないから、観ている人にストレスや負荷をかけないと思う。でも、それが時々散漫さとして感じられてしまう時もあるけど、とりあえずネタがいっぱい詰まっているのでそれでも観れてしまう。
「ユリ熊嵐」は、表現のレベルでは様々な要素やレベルが混在し、目まぐるしく展開するのだけど、物語の展開としては様々なものが未定で開かれた状態ですすみ、解決がもたらされず、要素が何度も反復しながら徐々に姿を変えるという遅々とした進み方で、ようやく解決の糸口が見えたかと思えばミスリードだったりで、(「寄生獣」的な独立したエピソードが積み重ねられるのとはまた違った)様々な要素が同時進行的に宙づりのまま引っ張られるので、「SHIROBKO」的はすぱっとした表現を好む人は、よく分からないとか意味ありげなだけとか感じてしまうのかもしれない。とはいえ、表現のレベルでの速いリズムと、物語のレベルでの遅いリズムが同時に進行しているという独自の気持ちよさがあるのだ。