●『境界の彼方』の劇場版をDVDで観た。テレビシリーズの『境界の彼方』は傑作だと思うのだけど、あまり高い評価を聞いたことがないのが不思議だ。
テレビシリーズ+劇場版で完結という時にありがちだと思うけど、劇場版はきれいにまとめようとしすぎというか、まとめようとする手つきが見えすぎていると思った。単独の映画作品としてではなく、最終回の拡張版と考えれば十分に楽しめるのだけど。でも、テレビシリーズはもっと雑多にいろいろ詰め込まれているところがよかったのに、クライマックスに向かって盛り上げる感じがちょっと単調かなあと思ってしまった。この作品は一人一人のキャラクターがおもしろいので、キャラがもっと自由にいろいろ動いてほしかった。
ただ、そうだとしても、京都アニメーションの表現力の高さはやっぱりすごいと感嘆せざるをえないと思うところが多々あった。未来が校庭で秋人をみつけて走っていくカットなど、これができるのは京アニの技術力があってこそではないか。演出も全体的にかっこいい。これと比べてしまうと、アニメとしての表現力という点で、たとえば『バケモノの子』でも、少し弱いかなあと感じてしまう。
(劇場版で一番納得できなかったのは、秋人の母親が、最後に「ちゃんとした人」みたいになって終わること。あのキャラには、最後まできちんと痛い人のままでいてほしかった。)