●『響け!ユーフォニアム2』、第二話。前半はプール、後半は合宿所。普段の学校とは異なる空間が、人物たちに普段とは違った動きをさせ、それが普段と違った出会い方を生み、普段とは違う会話を導き出す。それによって関係が動き、物語が動いてゆく。
この作品で空間は重要で、これまでは、学校と登下校(学校から駅までの道、電車のなか、途中の公園など)とコンサートホール以外の「別の空間」を主人公の黄前と共にするのは、彼女と特別な関係にある高坂だけだった(祭りに出かける)。例外として、塚本がいるが。しかし今回、普段と異なる二種類の空間で、登場人物たちがいろいろと交錯するという展開になった。黄前は次々と、普段とは違ったやり方で、様々な人物たちと直面させられる。家にいる時と、高坂と二人でいる時以外は、基本的に猫を被って破綻のないようそつなく振る舞う黄前だが、別の空間での別様の出会いがそれを揺るがす。
黄前の揺らぎと同時に、「二年生問題」の一部と、その背景にある、あるいはその結果として生じた、人間関係の複雑さ(複雑さの予感)が、徐々に明らかにされはじめる。
まだ、予感というか、複雑そうだという兆候が示されただけだけど、この人間関係のなんという味わい深さ。というか、この兆候の描き方がなんて上手いのか、と。いろんな人がいて、いろいろ関係がねじれているみたいだけど、分かりやすく悪い奴が一人もいない(まあ、去年の三年生がその役割なのかもしれないけど)というのもすごいなあ、と。でもアニメだから、普通のリアリズム的な人物造形や表現とは違っているのだけど、アニメのキャラだからこそのリアルさになっている。
今回を観て、「ユーフォニアム」というアニメが優れている原因は、原作にあるのではないかと感じた(原作、読んでないけど)。優れた原作が、京アニのポテンシャルを最大限に引き出しているのではないか、と。原作に書き込まれていることがすごいからこそ、それをどう表現するのかというところで、力が充分に引き出されてくるのではないか(いや、『無彩限のファントムワールド』と同じ人が監督とは思えない)。
今回は、モンタージュがめちゃくちゃかっこいいというわけではなかったけど、細かい描写がしびれる感じ。プールで、中川と吉川がいがみ合った後、それでもなんとなく二人でいて(木陰で、中川がスマホをいじっていて、吉川がふてくされた感じで横たわっている、というこの距離感で、でも一緒にいる)、そこで中川の口から傘木の名前が出て、吉川の短い微妙なリアクション、でパッと切って次のシーン(黄前と傘木が去年の吉川と鎧塚の話をしていて、傘木の微妙な答えから、傘木と鎧塚の間に何かわだかまりがあることが察せられる、そして、鎧塚と吉川とは割と仲が良さげ)、とか、こういう繊細な関係の描写と展開がたまらない。黄前と鎧塚の深夜の対話場面の、高低差を利用した足首チョップの細かな意外性もおもしろい。この場面で、鎧塚が黄前になにか意思表示するのは予測できるのだけど、「そこで足首チョップか!」みたいな意外性。で、この意外性は鎧塚のキャラの表現でもある。