●字数の少ない原稿を書く時にパズルをやっているような気持ちになることが多い。ここを五字分削ったから、こっちを五字分増やせるとか、この部分の表現を変えると二字分減らすことが出来るとか、この言い方だと言いたいこととはややずれてしまうけど、きちんと書くには文字数が必要なので近似値で妥協するか、とか、いや、妥協しないで別の表現の仕方をもう少し模索しよう、とか、もしかするとこの部分はざくっと削っても大丈夫だから、こっちをなくして、ここを詳しく書くか、とか、二字削って一字足すみたいな単位のことを、ちまちまと延々繰り返して、決まった字数と言いたいこととをすり寄せていく。内容とはほぼ関係のない(知的な刺激のない)むなしい作業だけど、これをやらないで、書きたいことを書いて文字数ぴったりに収まることはないので、やるしかない。頭や時間を使うべきところはここじゃないのだけどなあ、と思いながら。