●アルトマンの『ロング・グッドバイ』の配信がU-NEXTで新しく始まっていたので観た。アルトマンで一番好きなやつ。こういうのが観たくて映画を観ているというところがある。圧倒的な冴えと、攻めている姿勢と、適度ないい加減さと粗さ。そしてこの感じは、七十年代のアメリカの空気と不可分であると思う。
ぼくが好きなのは、この映画のハードボイルド的な雰囲気とかではなく、あくまで時間と空間の構築性なのだが、とは言っても、ハードボイルドな雰囲気と、七十年代アメリカの空気は、この映画の時空性の一部分としてしっかり埋め込まれているので、切り離して考えることはできないのだろう。隣の女性たちはオレンジ・サンシャインをキメているのだろうか。
(『ロング・グッドバイ』の日本における雰囲気的継承者は松田優作だと思うが、時空的な側面における、同時代的な共振者としては神代辰巳だろうと思う。『ロング・グッドバイ』と『恋人たちは濡れた』は同じ年に作られている。ヴィルモス・スィグモンドと姫田真佐久による撮影。)