●西川アサキさんが早稲田大学でやっている文系の人のためのテクノロジーやシステム論についての講座(「科学技術の論理と倫理」)があって、来週の14日にゲスト講師としてお邪魔することになっている。ポストヒューマン的な状況を意識した(科学技術の進歩にもとづく)未来予測というのが一貫した主題としてあるという講座なのだけど、そこでどんな話をするのか、ずっと考えているのだけどなかなか絞れないでいた。
それで思いついたのが、未来予測がテーマだということなので、現在の世界と十年後の世界との「ギャップ」の度合いを、過去と現在の間とのギャップから測ってみるということが出来ないかということだった。まあ、ありがちな発想ではあるけど。
科学技術の進歩の速度がアップしているとして、だいたい、今から三十年くらい前(八十年代前半)と今とのギャップと同じくらいのギャップが、今と十年後にはあるのではないか、という風に(ムーアの法則からすれば進歩はもっと加速しているのだろうけど、社会や人の想像力は技術ほどはやくは変化できないし、変わるものと変わらないものは斑状になるだろうから)。具体的には、ギャップというより、八十年代前半から現在までの「推移」をみることで、未来がリアルに「どれくらいなら大きく変わっていても不思議ではないのか」という話になるのではないか。ぼくは科学技術の具体的なことは分からないので、フィクションに描かれたテクノロジー(と、その時代の空気−欲望のようなもの)を通して、それができないだろうか、ということ。だからそこで問題になるのは、技術の影響によって、我々の感覚(常識)、想像力、空気、欲望がどの程度変化し得るのかということになると思う。
で、今日はそれを具体的にどうしようかと考えていた。ここでフィクションとは主にアニメにしようと考えている。そこに、多少、小説を入れて補うという感じ。学生が後から参照することがあるとしたら、(アートとかよりも)アニメや小説の方がアクセスしやすいと思われるから。
参照する作品として今のところ考えているのが、「ビューティフルドリーマー」(84)「トップをねらえ!」(88)「フリクリ」(00〜01)「ゼーガペイン」(06)「攻殻機動隊(押井版95・神山版02〜06)」「シュタインズゲート」(11)「ガッチャマンクラウズ」(13)。あと、西川さんから、アンチ「まどマギ」派の立場から「まどマギ」の話はしてほしいと言われている。
それを補う小説として、「プレーンソング」(90、舞台は86)「マイクロチップの魔術師」(81)「ワンの絨毯」(95)「アッチェレランド」(05)「南極点のピアピア動画」(12)という感じだろうか。あと、法条遥にも触れるかも。
要するに「アニメの話をします」ということです。