●「盛るとのるソー」のトークの後で小林椋さんに、「ディスプレイを作品に組み込むと、制作費が大変じゃないですか」というようなことを聞いたら、「型落ちした安いのを探すので一万円くらいで買えます」という答えだった。画材屋で、透明水彩の絵の具を十数本、セーブルの筆を三本、水彩紙のスケッチブックを二冊買ったら、それだけで二万円近くになった。これでも世界堂の20パーセント引き価格。ハイテクを使った作品に転向した方がコスパがいいのではないかと感じた。
●タブローの新しいシリーズをはじめるために、アトリエを多少模様替えする。F15(652×530mm)からF20(727×606mm)くらいのまでのサイズのキャンバスなら(壁に立てかけるのでもなく、床に置くのでもなく)机の上で描けるようにした。机で描くと、手を動かしているときの空間の広がりの感じ方がかなり違うことに気づいた。そして、最近のドローイングでしていたことを、キャンバスに油絵具でも試せるのではないかという感じになってきた。まだ、実際には(油絵具では)手を動かしていないので、どうなるのかはまるで分からないが、なんとなく気分だけは盛り上がっている。
衣料品の問屋をやっていた、亡くなってしまった元の大家さんから受け継いだ、布を裁ったり、仮縫いしたりするための大きな机を使う(今のアトリエは、その倉庫の一部を改装したもの)。
●今やっているドローイングは、3から4時間くらいで一気に描く。途中、水分補給くらいはするけど、トイレにもいかない。今の作品には、そういう没入感の持続のなかでなされる手さぐりが必要。でも、タブローになるともっと時間がかかるので、一気の描くわけにはいかなくなる。何日もかかったり、用事があって途中で何日も制作から離れたりすることは避けられない。それでも、その絵でやっていることを見失わないで、やるべきことのところへと戻ってこられるのかというのが、けっこう問題。
もともとぼくは、何にしろ集中して一気にやってしまわないと、どんどん迷いが出てブレブレになる。歳をとって、体力がなくなってくるにしたがって、その癖を少しずつ改善して、長い時間のなかで何かを少しずつ積み上げることを習得しようとしてはいるし、多少は変わってきていると思うのだけど、基本、積み重ねていくのはあまり得意じゃない。積み重ねるたびにちがうところが気になってしまう。
●こんな音源があるの、知らなかった。Harry Hosono & Tin Pan Alley in Chinatown (1976) FULL ALBUM
https://www.youtube.com/watch?v=EBYT97fpdxc
●上の音源の、「北京ダック」の部分の映像だけは、中学生くらいの頃からMTV系の番組で何度も何度も繰り返し放送されていて(特にテレビ神奈川で?)、観ていたけど。
https://www.youtube.com/watch?v=ZPmatlO9PYc
●下のリンクの「Hong Kong Blues」という曲は、ハワード・ホークスの『脱出』という映画でホーギー・カーマイケルがピアノを弾きながら歌っている曲。ぼくは「泰安洋行」に収録されている細野晴臣バージョンの方を先に知っていたので、後にハワード・ホークスの映画を観ている時にいきなりこの曲が出てきた時には驚いた。
https://www.youtube.com/watch?v=hDvstYDxm8Y
●下は、映画『脱出』の場面から、ホーギー・カーマイケルによる「Hong Kong Blues」。『脱出』はローレン・バコールのデビュー作。
https://www.youtube.com/watch?v=SUn4DOGiY_A