●一月に発売の雑誌に載るはずの、この夏に書いていた長い作家論のゲラのチェックをしているのだけど、文芸誌の校正の細かさというかその丁寧さに驚き、感動しつつも、自分がまったくバカみたいなケアレスミス(読み間違い)をしていることの指摘に、顔が赤くなる。こんなことで、ホントにちゃんとこの小説を読めているのかと不安にもなる。
●とはいえ、昨日と今日、二度、自分の書いたものを通して読んでみて、細かい部分の修正だけで、大幅な直しはなしでいいんじゃないかと思えた。
●韓国の高校生と一緒に二本の韓国映画を観て、その後でディスカッションするという夢を見たのは、おそらく寝る前に『バンジージャンプする』という何とも言いようのない映画を観たインパクトのせいで、『バンジージャンプする』にはイ・ビョンホンが出ているのだけど、夢のなかで観た映画には豊川悦司みたいな感じの俳優が出ていて、かなり暴力的な作風の映画だった。豊川悦司似の俳優が、夜中に目覚めてベッドから出て、いきなり自分が泊まっているホテルの部屋に火をつけて、非常ベルが鳴り響き、スプリンクラーから水が吹き出すなか、非常階段から一人颯爽と脱出し、燃える建物を背景に車でホテルから遠ざかり、しばらく行ったところにある広い空き地で、手にカッターをもった男と格闘する(掌をざくっと切りつけられる)ところまでを、強引な長回しで追っているシーンが印象にのこっている。夜の深い暗さのなかに、車のライトに照らされた雑草の緑がケバケバしく浮き上がっている空き地を、カメラは滑らかに横移動してゆく。上映後のディスカッションで学生の一人(女の子)が、ポン・ジュノの新作(「グエムル」の次のやつらしい)を観たけど全然いけてなかった、あの人はわたしたちのなかでは既に古臭くて、終わっているという評価だ、と発言した。ぼくは夢のなかで最初は教師とか講師という位置だったのだけど、いつの間にか留学している学生になっていて、ディスカッションの後、彼らと一緒に数学の授業を受けつつ、次の定期テストの心配をしていた。学校の建物やそのまわりの風景は、自分が通っていた高校ではなく、弟が通っていた高校に似ていた。下駄箱のあるところから校門までの道に沿ってある金網に、大学合格者とその大学名がよく分からない不思議な文字(ハングル文字ではなく、そこは既に韓国ではないみたいだった)で書かれたものが、ベタベタと貼りつけられていた。