●プライムビデオで『洲崎パラダイス 赤信号』(川島雄三)。ひたすら素晴らしい。三橋達也が最高。
最後の方で、蕎麦屋で芦川いづみと新珠三千代が相対する場面(BGMが「かわいい魚屋さん」)がグッと心にくる。それまで、三橋達也がカタギになることの方に心が傾いて、新珠三千代をやや邪魔者のように感じていた自分を強く反省させるような新珠三千代の表情。しかし、どこまでも「いい娘」であるしかない芦川いづみの立ち位置を思うと、こちらに対しても心が痛む。そして、ちょっと真面目に働くようになっただけで、すごく立派になったかのように思えてしまう三橋達也の筋金入りの駄目っぷり(蕎麦屋のテーブルの上に、平気で靴を置いたりする)。
(大型車両が常に画面を横切っていると、『にわのすなば』を自動的に思い出す。)
洲崎の「内側」は、オープニングのクレジットが出るカットでしか示されない。そして、この最初のクレジットのカットが(音声の組み立ても含めて)一番時間とお金がかかっているのではないかという感じ。最初に長回しのすごいカットを見せておいて、すぐに「でも、こういう映画じゃないよ」と転調する鮮やかさ。