2025-07-02

⚫︎30歳代半ばのル・コルビュジエが、両親のためにレマン湖のほとりに建てた「小さな家」と呼ばれる住宅がちょっと前から気になっている。そのまま『小さな家』というタイトルの、コルビュジエ自身が書いた魅力的な小さな本があるのだ。

そのほか、映像や写真などでも、見れば見るほど面白くなってくる。コルビュジエの父親は、越してから一年くらいで亡くなってしまったそうだが、母親は101歳まで生きて、この家に46年住み続けたという。一人暮らしの老人にとっても住みやすい家なのだろう。

下の映像の、一つ目は、カッコよく撮ってあり、細部の感触をみるにはいいけど、カッコ良すぎて空間の構成が分かりにくい。二つ目の動画は、空間の構造がわかるような3Dモデル。三つ目は、撮り方はかなりラフだが、それにより、かえって空間の体感を想像しやすいように思う。

・VILLA LE LAC ‐ LE CORBUSIER

https://www.youtube.com/watch?v=C_79me5yM2s

・Villa Le Lac(1924) /LE CORBUSIER SketchUp architecture Modeling 母の家 /ル・コルビジェを作ってみた1/4

https://www.youtube.com/watch?v=lY30C8SvTIM

・VILLA LE LAC

https://www.youtube.com/watch?v=1sIxPc6Yq84&t=204s

⚫︎「小さな家」が両親のための終の住処だとすると、晩年のコルビュジエは、自分自身のための最後の場所として、より質素な木造の小屋を作った。こちらは住宅というより別荘という位置付けだが。「カップ・マルタンの休憩小屋」と呼ばれる、日本の基準で八畳程度の広さしかない、ちっちゃくて質素な作りの木製の小屋だ。

これはあまり良い動画が見つからなかったので、記事を二つ。

www.txw-kyoushou.com

hash-casa.com

日本で、その精巧なレプリカが作られている。この動画が空間の感じをわかりやすく伝えているのではないか

・「カップ・マルタンの休暇小屋」原寸レプリカの案内

https://www.youtube.com/watch?v=6Mqcq3S0iuE

www.ohkaksan.com

⚫︎コルビュジエの仕事や業績を、この二つの質素な住宅で代表させることはとてもできないだろう。だがぼくは貧乏性でもあり、このようなシンプルな仕事にこそ、過激な可能性を感じてしまう。シンプルだけど、決してミニマリズムではない、シンプルな要素のみでどれだけ豊かさが作れるのか、みたいな感覚。

たとえば、近代の住宅建築といえばなんといってもフランク・ロイド・ライトの「落水荘」だろう。ぼくも、とんでもなく素晴らしいと思うし(いや、もちろん行ったことないけど)、大好きなのだが、しかし、これはもうあまりに豪華すぎて、住宅というより、富裕層向けの会員制の超高級旅館のようにしか見えない。空間として圧倒的に素晴らしいが、あまりに豪華でありすぎて「住宅」としての自由さと可能性が削がれてしまっているように感じてしまう(生まれがお金持ちだったらこんなことは感じなかったかもしれない)。

ペンシルベニア落水荘フランク・ロイド・ライトの建築の天才 | ハウスツアー

https://www.youtube.com/watch?v=q8dcnh-4I6g&t=727s

落水荘

https://www.youtube.com/watch?v=2AIPbJRP71E

⚫︎で、コルビュジエの「小さな家」や「カップ・マルタンの休憩小屋」を見ていると、小説が書きたいという気持ちがじわっと湧いてくる。今までのパターンとはちょっと違う、100枚くらいのが書けんじゃねーかな、という妄想(こんなことは書かないで、そっと心に秘めておいた方がいいのだが)。