●お知らせ。発売は少し先(9月15日)ですが、金子遊さんと中里勇太さんが編集した『半島論 文学とアートによる叛乱の地勢学』というアンソロジー本に参加しています。まだ実物をみていないので、他の人がどんなことを書いているのかは分からないですが、ぼくは、「突端・行き止まり・迷路・穴・模造/『海辺へ行く道』シリーズの岬的空間性」というタイトルで、三好銀のマンガ作品、『海辺へ行く道』について書いています。
(三好銀については、なにか書いてみたいとずっと思っていました。)
下はアマゾンへのリンクで、ここでこの本の目次がみられます。内容紹介に、《半島からこの列島を捉えなおすと何が見えてくるのか? 北は北海道・宗谷岬から、南は沖縄・勝連半島まで。半島や岬という地勢を起点にした文化批評の中に叛乱の声が谺する》と書かれていますが、北から南へとさまざまな半島が並んだこの本のなかで、ぼくのテキストは、実在しない(どこでもない)「架空の半島」について書いていることになります。
https://goo.gl/3DCBGu
●「ツイン・ピークス」、16話まで観て、あと残り二話(DVD一本分)なのだけど、もったいなくてなかなかつづきが観られない。つづきを観る前に、ファーストシーズンの最初のところを観直しておこうかと思ってDVDを借りてきたりする。
かなり緩いのだけど、無茶苦茶面白い。「ツイン・ピークス」の面白さは、(もう既に古いたとえということになってしまうのだが)にゃんこスターのコントが十数時間つづいているのにずっと面白いみたいな、奇跡的な感じがある。まったくのフリー進行ではなく、かなり「お約束」の進行や形式に乗っかっているところも多いのだけど、いわゆる「物語のお約束」の、どこに乗って、どこで外すのかという、その選択が、常に予想外で絶妙に変だから、にゃんこスター的な「え、それありなの…」という新鮮さがずっとつづき、かつ、長い時間、ある程度安定して(続きがどうなるのかという興味をそそられるように引っ張られながら)観つづけることができるのだと思う。
でもおそらく、たんに「予想外のところで外している」だけではなくて、その外し方になにか一貫性がある(あるいは、その外し方を導くなにかしらの一貫した力の作用がある)のだと思う。その外し方がリンチの作家性だと言ってしまえばそれまでだけど、でもそれが「これだけ面白い」というのは、それはリンチの個としての特異性には納まらないなにかなのだろう。