●録画されたものを観たのだけど、「世界ふれあい街歩き」のバンコク篇はこの番組のなかでもとびぬけて面白いと思った。
道端にある神様の像の祠にシマウマの人形(「人」形ではないのか?)が沢山お供えしてあって、その近くにいた爺さんが「ここにはシマウマの道があるからだ」とか言ってて、そのシマウマの道というのは横断歩道のことなのだけど、この、神様とシマウマと横断歩道の関係はどうなっているのだろうか。もともとシマウマをお供えする別の由来があるのに、爺さんが勝手に解釈しているのか、しかし、だとしたら何故タイでシマウマなのか(タイにシマウマなんていましたっけ?、という問いに爺さんは「動物園にいる」とか言っている)、それとも、もともと道祖神みたいな神様が交通安全の御利益がある神に転用されて、横断歩道とシマウマの関係は、役所の人とか広告代理店みたいな人がこじつけたのだろうか(ゆるキャラみたいな感じで)。そう考えるといかにもそれっぽい気もするけど、しかし、いい顔の爺さんが「シマウマの道」とかいうと、イメージの安易に結び付けを越えた説得力がでてくる。
宝くじでも、縁起の良い数字の並び(「きれいな数字」と呼ばれていた)のやつは値段が高いとか、デパートの前の広場に決まった時間に恋愛の女神が降臨するという話で、そこはいつも真っ赤なバラが沢山お供えされている(その祠はもともとデパート建設工事の時に事故が多発したために建てられたということなのに、なぜか恋愛にご利益があることになってしまっている)とか、お寺に、巨大で金ピカの仏像(なかには超リアルな蝋人形みたいな高僧の像とかもある)を奉納する習慣が一般的にある(親孝行のためにお寺に仏像を奉納するということみたいだった)とか、素朴な信仰と資本主義とがごっちゃになっている感がすごい。
コカコーラの瓶にストローをつっこんでチューチュー吸いながらムエタイの練習をする息子を見ているおっさんがいて、このおっさんがけっこう「いいこと」を言うのだけど、でも、こんな時間にムエタイ道場にいるということは働いてないだろきっと、的なダメな感じの風情もあって、これがまたすごくいい感じなのだった。ムエタイ道場は柱と屋根だけで、リングは神社のお祭りの時の舞台みたいな感じで、外と繋がっていて、近所の人たちがなんとなくまわりで見ていたりするし、裏に巨大な川があって、きっと風通しもいいのだろうと思った。