●われわれの目の前に現れる「新しいもの」の多くは、一見新しく見えるけど本質的な新しさのないものであるか、新しいけどその新しさがすぐに古びてしまうようなものだろう。十中八九、そうだと言える。
だから、何か新しいそうなものがあらわれ、人々がそれを新しいともてはやしている時、そんなものはちっとも新しくない、過去に既にこれこれこういうことがあった、と、大して考えもせずにとりあえずそう言っておけば、十中八九は(自動的に)正解する。
(特に、既得権をもつ人は、新しいなにかがやってきて世界がかわり、既得権が失われるのが嫌だから、いっそう、そう言いたがる傾向がある。)
しかし、そのような態度こそが、新しいものが生まれることを抑制し、抑圧しているのではないか。われわれはもっと軽薄に、なんかこれ新しい、今これ来てる感ある、と驚いた方がいいのではないか。実際にはそこに大した新鮮さなどなかったとしても、多くの人が集まって、おお、これすげー、とか言っているうちに、潜在的にあった本当に新しい側面を、誰かが発見して引き出してしまうかもしれない。
われわれはもっと無責任に驚いてもいいと思う。たとえばAさんが、おおっ、これすげー、と驚いて人に勧めまくったのはいいけど、すぐに飽きて忘れてしまった何かがあったとしても、そのAさんの言葉に触発されてそれに近づいたBさんが、それを本当にすごいものへと発展させるかもしれない。
●以上のような立場からみた『逆襲のシャア』と『ガンダムUC』について、原稿を書いた。