恐ろしい夢で、目が覚めた。まだ寝入ってから1時間ちょとくらい。細かい事は憶えていないけど、自由を奪われて、カッター、それも刃の先が錆びているような切れないやつで、身体じゅうのあちこちを切り付けられるとか、そんな感じだったと思う。スパッとではなく、ぐちぐちと押し込むように肉を抉られ切り裂かれているような。傷口がでろでろしているような。寒い訳ではないのに、ブルブル身震いがするので、Tシャツの上から長そでのシャツを着込む。恐ろしさや悪寒はすぐになくなったのだけど、なんとなく眠れなくなってしまう。しばらく、ぼっーと音楽を聞いていたりしたのだけど、ちっとも眠くならないので、近くの自動販売機まで飲み物を買いに行った。確か、大江健三郎に、死に先立つ肉体的な苦痛への恐怖についての小説があったよなあ、とか思いながら。真夜中の静かな通り。西の空には、ぽつんと丸くておおきな月がでていた。ああ、これで明日も眠たい1日になるのだなあ、もう、今日だけど。