ずっとつづいていた雨のせいか、池はどろどろに濁っていた。大きな魚がバチャッと跳ねて、水面に大きく波紋が拡がる。同時に、生臭いにおいも漂ってきた。
道の真ん中に、握りこぶしよりやや大きいくらいの真っ黒な子猫が1匹ぽつんと居た。後ろ姿だけだと何だか全く分らず、もう少しで足で蹴ってしまうところだった。
午後から、雨が降り出す。
建物の軒に走り込んできた女の子が、カバンから、着ているシャツと同じ色同じ柄の折り畳み傘を取り出して、それをさして行った。白地に赤いチェックの、全くのおそろいだった。
風を背にして歩いている人の傘の、何て言うのか、ホネに張ってある膜の部分が、ブルブルと音をたてて小刻みに振動していた。
ブック・オフで、神代辰己『ミスター・ミセス・ミス・ロンリー』、フィリップ・ガレル『もうギターは聞こえない』のビデオを安価で購入。カラオケではじめて『闇に降る雨』と『弁解ドビッシー』を歌ってみた。「♪だって淀んだ水が薫るピアノなんだもん」