2020-05-18

●U-NEXTで、黒沢清勝手にしやがれ!! 強奪計画』を観た。六作つづく「勝手にしやがれ!!」シリーズの一作目で、95年の作品。ワンカットごとに、これをはじめて観た時の興奮を思い出して胸が熱くなる。94年から95年くらいのこの時期に、現在につながる黒沢清の原型が出来たのだと思う。その前の『地獄の警備員』までの感じとは違っている。当時、その飛躍を、ワンカット、ワンカットから見いだして、興奮していたのだと思う。この変化=飛躍は、(企画や製作において制約の多い)Vシネマの量産によってもたらされたものなのだろうから、黒沢清にとっては一種の「妥協」として意識されていかのかもしれない。妥協ともいえるものが結果として飛躍となる。与えられた(制約の多い)条件を受け入れることによって、逆にそれが飛躍へと繋がる、という事実からも、ぼくは興奮や希望を与えられていた。

(そして黒沢清は、2000年くらいまで、驚くべき飛躍をしつづける。)

久々に観て、國村隼がすごく良いのに驚いた。この時、いくつくらいなのだろうか(調べたら55年生まれだから40歳だ)。おそらくぼくは、國村隼菅田俊大杉漣を、この映画ではじめて観た。この時、名前も知らずに印象に残った---この時点では---無名の俳優たちを、この後、何度も何度も繰り返し観ることになる。

(調べたら、國村隼は『ブラック・レイン』や『トカレフ』に出ているから、はじめてということはないか。ただ、印象としては「はじめて」という感じだったはず。)

あと、クレジットに「助監督 青山真治」とあった。『Helpless』はこの次の年につくられるんだった。『教科書にないッ!』は同じ95年だ。

(青山真治の『教科書にないッ』はもう観られないのか。VHSで一回か二回観たことがあるだけだ。)