2023/04/10

●「芸術は長く人生は短い」という言葉を、ぼくはずっと、芸術を極めるには長い時間が必要だが、それに比べて人生はあまりに短いという意味だと思っていて、つまり「少年老い易く学なり難し」みたいな意味だと思っていたのだが、多くの人が「人は死んでも、芸術(その人の作品)は残る」というような意味にとっていて(ほぼ逆の意味だ)、かなり驚いている。それは違うのではないか、と。

坂本龍一が最後にこの言葉を残したというのは、自分の短い生は、音楽という長い流れの中に位置するのだ、ということが言いたかったのだと思うが、同時に、もっと長く生きて、もっと音楽をやりつづけたかったという無念さも響いているのではないか。

そもそも、「自分は死んでも自分の音楽は残る」なんて自分で言わないと思う。

●《物語のようにふるさとは遠い/みんな死んだらひとりで帰る/腕にいっぱいの花を抱えて帰る》。かっこいいけど、このかっこよさ(「ふるさと」に対してもつ愛憎への距離感)は70年代くらいまでのもので、70年代くらいまでの日本の雰囲気を知らない人には、同じ言葉でも全然違う響き方をするのだろうなあと思う(ぼくも辛うじてかすっているだけだが)。『男流文学論』は今読むとどんな感じがするのだうか。

富岡多恵子坂本龍一

富岡多恵子 - 物語のようにふるさとは遠い(1976) - ニコニコ動画

"My Father with a Felt Hat" by Taeko Tomioka (Ryuichi Sakamoto) 中折帽子をかむったお父さん 富岡多恵子(坂本龍一) - YouTube

富岡多恵子 - 歌いましょうひとりで - YouTube