●最近、毎日律儀に、まるで出勤するみたいに、肩にずっしりと食い込む重さの本とノートパソコンとを鞄に詰めて出かけ、駅前の喫茶店まで行き、さらに何軒かはしごして、本を読んだり、書き物をしたりしている。とはいえ、文化的に貧しい地域に住んでいるので、駅前の喫茶店といっても、どこの駅前にもある大型チェーンの店か、ファーストフードかファミレスくらいしかないので、喫茶店で読書と執筆、みたいな優雅なものとは程遠く、子連れの主婦が泣きわめく子供を怒鳴っていたり、夏休み中の中高生の集団が騒いでいたり、耳の遠くなったお年寄りが大声でねちっこくてえげつない世間話をしているような喧噪のなかでやっているのだが。それでも、自分の部屋は基本的に絵を描くのと寝起きするための場所で、長時間集中して本を読んだり、何かを書いたりするのに適している空間ではないし(だいたい、机とかテーブルとかちゃぶ台のようなものがない、今、この日記を書いているパソコンは、本の詰まった段ボール箱の上に画板を被せたところに置かれている)、ずっと部屋にばかりいると煮詰まってしまうので、外に出て、一定の時間で場所を移動するようにしているのだった。それで、読み書きをする時に、テーブルと椅子があるということは、とても快適なものなのだなあ、とつくづく思うのだった。
●暑いのは決して嫌いではない。借りている部屋にはいちおう古いエアコンが造り付けてあるのだけど、夏にこれを冷房として使うことはまずない。窓が何カ所か開いていて空気が通ればそれで充分だ。(今、借りている部屋は、割と高台にあることと、建物の前と後ろがゆったりとスペースが空いているのとで、風通しが良い。)からだが暑さに反応している状態というのは、それだけでエロい感じさえする。とはいえ、頭を使うためにはやはり暑くない方が断然効率がいいのだなあと、冷房の効いた喫茶店に入ると実感するのだった。
●今、上限四十枚くらいで原稿を書いているのだけど、考えていることの半分くらいが書けたところで、どのくらいの量になったか調べてみたら(書いている時は枚数が分らないようにしている)、ちょうど四十枚を少し越えたところだった。このまま書いてゆくと、だいたい七十枚から八十枚くらいのものになってしまう感じだ。推敲して多少スリムにすることは出来ても、半分にするのは難しいので困った。とりあえずこのまま書いて、長さについては最後まで書いてから考えるしかない。