●夜中に、どうしてもビールが飲みたくなり(この時点でワインを一本空けている)、近くのコンビニへ行くために部屋を出る。一番近いコンビにまで、12、3分は歩く。出る時には朝からの雨は上がっていたので、傘は持たずに。虫の声しか聞こえない、全く人通りのない静かな住宅街のなかを駅の方向へ歩いて下っていると、サーッという音が聞こえて来て、何の音だろうと思っていると、音に遅れて、強めの雨脚の雨が落ちて来た。傘を持って来るべきだったなあと思いながら、近くの軒下へと避難する。朝からずっと雨が降っている日の夜中に、傘も持たずに濡れた姿で、見ず知らずの家の軒下にいるのは、いかにもあやしいだろうなあと思いつつ、誰もいないからまあいいだろうとも思う。向かい側にはタバコの自動販売機があり、深夜なので全てのボタンのところの「売り切れ」の赤いランプがダーッと並んで灯っている。自販機の光りは街灯より強くて眩しい。見上げる三階建てのアパートの窓は、明かりが着いている部屋も消えている部屋もある。駅の方からやってきた相合い傘のカップル(女の子の方が腕に使ってない傘を下げている)が通り過ぎる。雨はさらに強くなり、やみそうもないので、寒くもないし、買い物して戻るだけだから濡れてもいいやと思って、軒下を出る。車がまったく通らない道の横断歩道を、濡れながら律儀に信号待ちする。街灯を反射する濡れた道路をぼんやりと眺める。ずぶ濡れでコンビニの店内に入り、ビールとスナック菓子を買って帰る。
●作家論、途中に何カ所か粗っぽい繋ぎや言い足りないところがあり、まだ直す必要があるが、とりあえず、行き着くべきところにまでは辿り着けた気がする。ただ、依頼された枚数があまりにも短か過ぎる(20枚)ので、どうしても、結論まで、余裕も逡巡もなく、足早に一直線につきすすんでいる感じで、それがどうかとも思う(まとまった引用とかまったく出来ないし)。あまりに短か過ぎて、書く方としても気持ちが納まらないので(書けなかったことや、粗っぽく処理してしまったところが多々あり)、発表のあてはまったくないが、この作家論は改めて(読んだことを忘れないうちに引き続き)ロングバージョンを書くつもりではいるのだが。