●下北沢のザ・スズナリで、富士山アネット『不憫』(作・演出・振り付け 長谷川寧)。まったく予備知識はなかったけど、神村恵カンパニーを観にいった時にもらったフライヤーのなかでなんとなく気になったから行ってみた。でもカンは外れた。ぼくにはまったく面白くなかった。演劇は、面白くなくても途中で抜けられないのが辛い。一時間弱の公演がとても長く感じられた。でも、人気がすごくあるみたいで、昼間の回だったけどお客がみっしり入っていた。
まず、動きが全然面白くなかった。一つの動きのスパンが短くて、しかも、動く、止まる、のリズムが単調だから、動きをみせるというよりも、止まった時点の、見栄を切るみたいなポーズを見せる(止まったポーズで決める)感じになってしまう。アニメで、止め絵で見せる演出みたい。ダンスと演劇の中間みたいなところを狙っているのだろうと思うのだが、ぼくには類型化された殺陣の型が次々積み重なっているようにしかみえなかった。一つ一つの動きが単調であるのと同時に、作品全体の時間の流れもおそろしく単調で、はいパン(手拍子)、動く、はいパン、止まる、はいパン、また動く、はいパン、また止まる、はい、ゆーっくりながして、はいパン、また動く、みたいな。あと、いくらなんでも音楽流し過ぎというか、音楽に頼り過ぎ。あれだけ次々音楽を流せば、それだけである程度は時間がもってしまうし、流れや緩急もできるから、パフォーマンス自体の持続の質がどうかなんてことは、問題ではなくなってしまうだろう(だから、あんなに動きが単調なのだろう)。それと、動きが音楽に同調し過ぎていて、ほとんど「当て振り」になってしまっているように思った。途中から、ドリフの体操コントの難しいバージョンにしか見えなくなってきて、心のなかで「お前ら仲本工事か」と突っ込みをいれていた。そのくらい退屈だった。最後の方など、和製なんちゃってミュージカルみたいだったし。あと、空間に対する配慮が雑過ぎるとか、ビデオの使い方がセンスなさすぎるとか、悪口はいくらでも出て来るけど、不毛なのでやめておく。