●関係は、それ自体としては目に見えない。しかしそのような関係の感触を、目に見えたり、手で触れたり出来るものと同じように、触れるように感知すること。そして、関係と関係との関係をも感じ取ること。とはいえ、関係と関係との関係は潜在的なもので、それを発見するのと創造するのとはほぼ同義だ。
例えば、キャンバスの上に実現されている絵の具たち相互の関係と、そのフレームの外にある別の物たちがつくりだす別の関係とが共鳴し、まったく異なるマテリアルで構成される複数の関係相互に何かしらの関係(共鳴)が生まれる時、そのキャンバス上の絵の具たちは何かしらの表現性を得る。
関係と関係とが関係する時、それが比喩や象徴となれば、関係と関係とは層構造となり垂直に関係するが(一方が他方の「メタ」となるが)、類似やアナロジーとなれば、関係と関係とは水平に関係し、どちらがどちらを表現するということにはならず、それらは相互に相手を映し出すことになる。一方が現実で一方が意味、一方がマテリアルで一方が表現、一方が具体で一方が抽象、一方がオブジェクトで一方がメタ、一方がオリジナルで一方がコピー、ではなく、双方が現実であると同時に他方の表現(他方の影)であり、互いが互いを表現し合うこととなる。その時、複数の関係たちは決して同一化するのではなく、たんに関係する。関係しつつ、変化する。つまり、ある関係が別の関係と関係することで、その関係のあり様がかわる。