清水高志さんのツイッタ―によると、柄沢祐輔設計の清水邸「S-house」(の模型)が、正式にポンピドゥーセンターの収蔵作品となったようです。柄沢さん、清水さん、おめでとうございます。
https://twitter.com/omnivalence/status/1011936647439499266
S-houseについて、ぼくが「新建築 住宅特集」に書いたレビューをリンクしておきます。「潜在的な視線のネットワーク/ s-house (設計・柄沢祐輔)について」
https://note.mu/furuyatoshihiro/n/n7dd2443dacb9?magazine_key=md4baef7dce8b
●ネットフリックスで『夜明け告げるルーのうた』。これはよかった。湯浅政明のつくったアニメをはじめて受け入れられた。前半(ルーの存在が町の人たちに開示されるより前)の部分がとりわけ素晴らしい。
全体の感じとしては、「ポニョ」や「君の名は」や細田守などから取り出した要素をうまく組み合わせたみたいな、いまどきアニメのウケそうな要素全部のせみたいな感じなのだけど、そのようなマーケティング的凡庸さと、湯浅政明のアクやクセの強さとが、とてもうまい具合に相殺して、結果として「演出や描写の充実」が際立って前面にでたのではないかと思われた。
こまかいことを言えば、ぼくにはわざとらしいとしか思えないパースの歪みや、ぼくにはダサいとしか思えないデフォルメなどが、まったく気にならないということはないのだけど、そんなことは些細なことだと思えるくらいに(特に前半部分の描写が)充実していると感じられた。「趣味の違い」が「描写の充実度」に押し切られた感じ。
湯浅政明は、(ぼく自身がもってしまっている「趣味」との折り合いがつけがたいというだけで)やはりとても優れた作家なのだと認識した。作品の内実が充実している(ひとつひとつの細部に必然性---必然的な結びつき---が強くある)からこそ、その結果としてあらわれる「趣味の違い」を相対化して受け取るのがとても難しくくなる、ということなのだろう。