2023/05/25

⚫︎『水星の魔女』、18話(プロローグを含めると19話目)。「ウテナ」の黒薔薇編みたいな懺悔室が出てきたけど(マルタンが懺悔している)、あれはなんなのだろうか。

今回は主に、地球寮の友情と結束(しかしマルタンが不安定要素)、ミオリネの決断(しかし、ほぼプロスペラに操られている)、スレッタとエアリアル(エリィ)との決別、というのが主な出来事だと思うけど、それ以外にも気になるところがちょいちょいあった。

あり得ると思っていた、スレッタ-ミオリネ-エリィの「娘たち」の連帯は、完全に分断されてしまった感じだけど、今後はどうなるのだろうか(分断されたまま、ということはないのではないか)。今のところ、まだ、プロスペラがやろうとしていることが何なのかが分かってなくて、さらに、スレッタが、ここからどう動くのかも分からない。ミオリネ-グエル連合は、完全にプロスペラに操られているが、二人がエアリアルと共に地球に降り立つことと、プロスペラの計画は何か関係があるのか。

ペイル社は、今のところ、一応、シャディクの配下にあるが、ペイル社のCEOたち、およびオリジナル・エランが、どう動くのかも分からない。

色々仄めかされてはいるが、まだまだ、どうなるか分からないところが多い。そして最も分からないのは、この後のスレッタがどうするのかということだろう。次回、スレッタがどうなっているのか、みるのが怖い。

(おそらくグラスレー寮のどこかに閉じ込められている・閉じこもっている、ニカ、エラン五号、ノレアの三人は、どうなるのだろう。ぼくはこの三人のシーン、特にエラン五号がとても好きだ。)

⚫︎ミオリネからもエアリアルからも切り離されてしまったスレッタが、しかし地球寮の友人たちと「普通の学園生活」を送っていて、やりたい事リストを次々と埋めていくというこの状態は、スレッタが本来望んでいた事であり、そして、ミオリネや(散々スレッタを操り、利用してきたにもかかわらず)プロスペラが、そうあることが彼女の幸せだと思っている状態ではある。

でもそれは、スレッタを舐めているというか、スレッタを「無垢な愛されキャラ」に留めておきたいという、ミオリネの、ある意味で「上から目線」からの考えだと言える(そもそもスレッタは、一度は「怪物化」して人を殺しているのであって、もはや無垢ではあり得ない)。スレッタはミオリネと出会ってしまったし、ミオリネはスレッタと出会ってしまった。この事実がある以上、スレッタは「無垢な愛されキャラ」に留まっていることはできなくて、スレッタ-ミオリネの対等な関係が回復されなければならないと思う。

前回ミオリネは「スレッタにはガンダムとか何にも縛られない世界で幸せになって欲しい」と言った。しかしそれに対してグエルは「そんな世界はないよ」と言う。これは、ミオリネの「上から目線」に対するグエルの批評だ。スレッタは、出自からして既に「プロスペラの陰謀」の一部であって状況に深く関与してしまっているし、(ネオリネを助けるためとはいえ)プロスペラにそそのかされて人を殺してしまっている。だからこそ、スレッタに必要なのは「楽しい学園生活」ではなく、脱プロスペラ化(脱プロスペラ的主体の確立)であり、そのためにはミオリネとの対等な関係の回復が必須であると思われる。

(これはまさにウテナとアンシーの関係で、空っぽなアンシーは、ウテナとの関係によって初めてアンシー自身であり得たのだった。ただそれが、ウテナへの依存という形をとるならば元も子もないので、二人の関係は対等でなければならなかった。)

ここで重要になるのが、スレッタのアイデンティティガンダム(エアリアル)との関係だ。つまり、脱プロスペラ=脱エアリアルなのか。それとも、スレッタとエアリアルとの密接な関係によってこそ、脱プロスペラ化とミオリネとの関係の対等化が可能になるのか。まあ「ガンダム」なのだから後者であるのだろうが。スレッタとエアリアル(エリィ)との絆が、どのような形で回復され、(おそらくそれを通じてだと思われるが)どのような形でスレッタとミオリネの絆が回復されるのかというところが、これから重要になってくるのではないか。