07/12/30

●朝、テレビをつけっぱなしにしていたら、今年注目された企業の社長たちがあつまって、業績自慢や自身の方針や教訓といったお説教をたれるというような嫌らしい番組がはじまって、そこである投資会社の社長が、群衆心理について話していた。例えば、サブプライムローンの問題について、ほとんどの人が本当はそんなこととは関係がないのに、それが「問題だ」とされると、みんな不安になって自分の持っている株を売り始めて、その結果、株が安くなり、そのおかげで私たちが安く多量の株を買うことが出来るようになる、と。つまり、誰か影響力のある人が「こうだ」と言うと(あるいは、そういう「空気」が蔓延すると)、群集心理でみんなそれに一斉に流されるので、それに流されない一部の優秀な者が儲けることが出来る、と言っているわけだ。それに対して他の社長が、そんな秘密をここでバラしたら、みんながマネしてあなたが儲からなくなるんじゃないか、と言うとその社長は、いや、群集心理は何千年たっても決してかわりません、と自信たっぷりに答えていた。つまり、大多数の人は、常に、ある「流れ」に無自覚に乗らされてしまうようなバカでありつづける、と言っているわけだ。これは、自分のことを優秀だと思って疑わない高慢な人の(つまり、自分を「メタ」のレベルに置けると思っている人の)、人間を根本的に見下してバカにしたきわめて嫌らしい発言ではあるけど、現状をみると、それ(「群集心理は何千年たっても決してかわりません」)が正しいと認めざるを得ないようにも思えてしまう。おそらくそれは、ほとんど「動物的」な次元で設定された条件なのかもしれない。(でもこの社長も、自分にもその動物的条件が否応無くセットされてしまっていて、そこから完全には自由になれないことには無自覚なんだろうと思う。だからこそ、あんなに自信満々でエラそうにしていられるのだろう。)朝からすごい嫌な気分になった。