●今日は、「もっと気軽にアートに触れましょう」というような企画の取材を受けた。ぼくの作品についての取材ではなく、アートの見方指南みたいな。
こういう種類の言葉って、「何を語るか」よりもむしろ「誰が語るか」によってその効力が発揮されるんじゃないかと思う。つまり、有名人の誰々がそう言っているから、あるいは、成功や権威の後ろ盾のある誰々がそう言っているから、「なるほど、そういうものなのか」と読者は思う。だから、この話がなぜぼくのところに来たのだろうかと不思議に思った。古谷って誰?、こいつは何の権利があって我々に偉そうに説教するのか?、ということにしかならないのではないか。
しかし、それは僕が考えることではない。誰かが、古谷に話を聞こうと考え、実際、わざわざぼくのところまでやって来てくれたのだから、その人に対して、自分が考えていることが出来るだけちゃんと伝わるように努めて話せばよい。そこまでがぼくの責任で、そこから先のことは、相手に委ねてしまえばいい。