●ふと思い立って、本棚から『夏と冬の奏鳴曲』(麻耶雄嵩)を取り出してみたら、ほとんどそのままの感じで最後まで一気に読んでしまった(700ページもあるのに)。びっくりするほど、今の自分の関心に近いことが書かれていて(キュビズムに対する評価や見解はまったく違うけど)、しかし、近いからこそ、ぼくの行くべき方向は「これ」ではないのだ、あるいは、もっと別の問題の構成の仕方をする必要があるのだ、ということを、はっきり教えてくれるような小説だった。