地震があった時、Y夫妻、Eくん、Oさんと五人で、井の頭線池ノ上駅へと向かう途中だった。地震だと誰かが言って、見上げると街灯が揺れていた。立ち止まると地面が揺れているのが分かる。揺れはそれほど大きくはないが、下から突き上げる力と地面が波打つような感じが気味悪く、長い時間つづいた。ちょうど立ち止まったところにあった飲食店の店員が出入口に立って、震源は宮城だってよ、と言った。
今日は帰れなくなるかもしれないとも思ったが、井の頭線は普通に動いていたし、中央線の下りも十五分遅れていただけだった(しかも理由は「御茶ノ水駅構内でお客様が線路内に立ち入った」からということだった)。午前一時すぎに最寄りの駅に着く頃には、ちょっと大きめの余震だったのだろうという程度の感覚でいた。駅から部屋までの道の途中ずっと、ぼくの行く先にふらふら歩くヨッパライがいて追い抜こうとするのだが、右に左にふらふらしているのに妙に足早でなかなか追い抜けなくて、鬱陶しいなあとか思いつつ部屋に着いた。しかし、テレビをつけると、またも自分の見積もりの甘さを痛感させられることとなった。