●『君の名は。』と『シュタインズゲート』と『魔法少女まどか☆マギカ』は、ざっくりみればどれも同じ構造の物語だと言える。世界の分岐点となる過去を変えることで未来(現実)を変える(『まど☆マギ』の場合、宇宙の始点から全部変えるわけだが)。それはつまり、過去を変えない限り未来は変わらない、という話になる。過去を変えるための方法は、『君の名は。』では古来から伝わる特別な力とシステムであり、『シュタゲ』では最新のテクノロジーであり、『まど☆マギ』では魔法(あるいはQべえによる超テクノロジー?)である、という違いがあるだけだ。
(ほむらの反復と岡部の反復。ほむらは、その絶望的な反復によって、まどかに過去を変えるための潜在的な力を供給し、岡部の絶望的な反復は、それによって過去を変えるための認識を蓄積する。)
ここで『シュタゲ』の「世界線」という概念だけがやや微妙で(つまり面白くて)、これは現実は一つであるのか(特定の世界線のみが「現実」であるのか)、あらゆる「世界線」が平等に「現実」であるのか、どちらもあり得るという含みをもたせている。物語では一応、現実は一つであるという前提で進んでいるけど、それは物語が岡部(他の岡部ではなく連続的なこの岡部)の視点でだけ記述されているからで、そう言い切れる根拠は示されていない(阿万音=ジョン・タイターはそう説明しているが、夢のなかの椎名まゆりは多世界解釈に近い)。原理的に岡部(=観客)にはそれを知るすべがない。