●『けものフレンズ』は、ゆるくて、ネガティブな要素や、競争や攻撃性という要素がほぼゼロで、しかもクオリティがそんなに高くないから気楽に観られる(唯一の危険な要素であるセルリアンは、一話以外には出てきてない)。つまり刺激的な要素がほぼない。この徹底性が、新しいところなのかも。
(人類滅亡後の世界みたいな感じが匂わされているから、設定そのものはネガティブなのだけど、少なくとも表面にはネガティブ要素が出てこない。地はディストピアであることが予測されるが、図は完璧にユートピアという感じ。『がっこうぐらし』の一話もそうだったけど、みんなけっこうそういうのが好きなのか。)
たとえば『けいおん!』にも、ネガティブな要素や競争や攻撃的なものはないけど、あの全体的になんともゆるい雰囲気を支えているのは作品のクオリティの高さだといえる。あれだけクオリティが高いからこそ、あれだけゆるい内容で作品が成り立っている。
しかし『けものフレンズ』は作品のクオリティがそもそもかなりゆるい。だからこそ本当にリラックスできる、と。
とはいえ、こういうものが多くの人に受け容れられているということは、みんな普段の生活がよっぽど辛くて(あるいは、忙しくて疲れていて)、かわいい女の子やキャラや動物を見て、「ああ癒される」という以上の刺激を受け付けられなくなっているのかなあ、とも思ってしまう。現実がギスギスし過ぎているから、刺激の強いものは辛いんだ、と。フィクションなんていらない、かわいいものたちが楽しそうにしているのだけを観られればいいのだし、それ以外は邪魔なんだ、と。
(そういう意味で、フレンズたちは、女の子であり、ゆるキャラであり、動物でもあるという、かわいいもの三段重ねになっているところが強いのか。)
(個人的な好みとしては、『てさぐれ!部活もの』の方が面白いと思うのだけど。)
●今期のアニメは、『けものフレンズ』以外は『小林さんちのメイドラゴン』しか観られていない。「小林さんち…」は、キレキレの「ユーフォニアム」の後でいい感じに力が抜けた京アニで、いい感じ。
オザケン復活より、こちらの方がぼくにはじわっとくる。「カジヒデキ擁するBridgeが22年ぶり集結 4月に再結成ライブ」
http://www.cinra.net/news/20170226-bridge