●いまさら気づいた勘違い。キリンジの「エイリアンズ」の詞で、「そうさ僕らはエイリアンズ 街灯に沿って歩けば ごらん新世界のようさ」という部分を、いままでずっと「そうさ僕らはエイリアンズ 街灯に沿って歩けば ご乱心世界のようさ」だと思って聴いていた。
「どこかで不揃いな遠吠え」とか「仮面のようなスポーツカーが火を吐いた」とか、不穏な兆候のイメージがつづいて示された後、とうとう世界は「ご乱心」してしまい、「暗いニュースが日の出とともに街に降る」ことになる。つまり、世界は崩壊する。「素晴らしい夜」というのは反語的表現だと思っていた。そして、そのようにして崩壊する世界を前にして、世界から隔絶された場所に二人きりで存在するエイリアンであるかのようなカップルが、この世界を見送る「ラストダンス」を踊る。そういう絵を想像していたのに(このような絵自体が、世界から隔絶されたカップルのもつ幻想だ、と)、「ご乱心世界」が「ごらん新世界」にかわってしまうと、その絵が崩れてもっと普通の感じになってしまう。「この僻地」のありきたりの夜に「魔法をかけ」て「新世界」にするという、よくあるイメージになる。
あと、この曲に出てくる「僕」は人間の男性であるとして、「君」が人間である感じがどうしてもしない。「君」を人間としてイメージすると、この曲から感じられる強い「この世界の片隅で二人ぼっち」感や、過剰に潔癖であるかのような繊細さ、あるいは抽象的な寂寞感と、どうしても釣り合わない感じになる。仮に、「僕」を人間の男性と、「君」をラブドールの女性としてイメージすると、ぼくとしては割としっくりくる。
https://www.youtube.com/watch?v=w05Q_aZKkFw