●メモ。最近、とても気になっているエストニアに関する記事。国家=領土ではなく「国家=データ」というエストニアの思想。「ブロックチェーンで運営される国、エストニア 起業家を惹きつける「未来型国家」の設計思想とは?」(FASTGROW)
https://www.fastgrow.jp/articles/e-estonia
エストニアが「未来型国家」と形容される最たる所以、それは「電子政府」だ。すべての行政サービスのうち、99%がインターネットで完結する。残りの1%、つまり紙での手続きが必要なのは、「結婚、離婚、不動産の売却」のみ。その他は電子IDと電子サインで済ませられる。》
《これほどまでに「ノー・レガシー」「デジタル・バイ・デフォルト」を徹底できているのは、この国そのものが「デジタル・ネイティブ」だからだ。エストニアが旧ソビエト連邦から独立したのは1991年のこと。そのときすでに、この世にはインターネットが存在していたのだ。》
《透明性とはつまり、自分の情報がどのように利用されているかが、市民やビジネスオーナーなどデータを提供する側から見えるということ。エストニアでは「個人情報のオーナーは個々の市民である」ことが強調されている。》
《自分のデータに公的機関、企業、医療機関などがアクセスした場合、その履歴をいつでも閲覧でき、アクセスの理由に不信感を持った場合は、管轄機関に調査依頼ができる。このことがデータ管理への安心感をもたらしている。》
《これほどまでに先進的なエストニアの電子サービスだが、実は日本人も今すぐ体験できる。外国人の電子居住者を受け入れる「e-レジデント」制度があるためだ。この制度を開始したことが、エストニアが外国人起業家からの注目を集めるきっかけとなった。》
《市民ではないため、電子投票などはできない。しかし、この制度を活用すればエストニアを「一度も」訪れずとも、会社設立、銀行のビジネス口座開設、納税申告などが行える。場所にとらわれず働ける「ロケーション・インディペンデント」な人にとって、有効な起業の手段となりうるのだ。》
エストニアがここまで政府の電子化を推し進める背景には、先述の「デジタル・ネイティブ」であることに加え、地政学と侵略の歴史がある。エストニアは過去に2度、旧ソ連に支配されてきた。そして今もなお、大国ロシアと隣接している。》
《当然、政府はそうなることは望んでいないが、「またいつ、どの国に侵略されるか分からない」というリスクを感じている。しかし、たとえ侵略されて「領土」がなくなったとしても、国民の「データ」さえあれば、国は作り直すことができる。テクノロジーを駆使しているのは、そのためだ。》
《事実、在エストニアの「ルクセンブルク大使館」にも、分散された国民に関するデータが保管されている。「他国に国民のデータを預ける」のは日本人の感覚としては理解しがたいが、エストニアは国家を守り続ける必要にせまられ、「ブロックチェーン」など技術を活用しているのだ。》
●追記。「小国エストニア電子政府で世界最先端を突き進むワケ――ターヴィ・コトカ(エストニア政府CIO)インタビュー」(ダイヤモンドオンライン)
http://diamond.jp/articles/-/68290
《そして目下、力を入れているのはe-Residency(電子居住)と、データエンバシー(データ大使館)です。
電子居住では、世界各国の方がどこからでもエストニアのサービスを享受できます。例えば、日本の自宅にいながら、エストニアに会社を作り、運営することもできます。
そうなれば、日本から、EU加盟国としての行政サービスを受けることもできるのです。
われわれはこれにより、電子上の“人口”を1000万人にまで増やしたいと思っています。
また、データ大使館とは、ハリーポッターの七つの分霊箱のようなものです。
国家のデータとサービスを世界中のサーバに分散させることで、政府の存続を担保し、エストニアが領土を占領されたとしても、われわれの国家自体を占領することはできなくなります。つまり、国家が領土や物質という概念から解き放たれるのです。》
《今、新しい国を作るとすれば、必要なのは領土ではなく、「人」です。今では選挙も、電子上でできるのですから、もはや“領土”という概念は、国家にとって重要ではなくなります。
そして、それが、われわれが目指す国家安全保障の究極のゴールです。》
●追記。エストニア e-residencyの申請について
http://www.jeeadis.jp/jeeadis-blog/-e-residency