●『なぜ世界は存在しないのか』(マルクス・ガブリエル)を読んだ。今、くわしい感想を書いている余裕がないが、前半は、分析哲学っぽい文体とロジックの組み方だと感じながら読んでいたが、後半になると、バリバリにドイツ観念論っぽくなっていた。メイヤスーやハーマンなどと、「新しい実在論」として明らかに同じような方向を向きながらも、「細かい違い」では済まされない違いもあって面白い。
(途中にヴィヴェイロスの名前も出てきて、新しい実在論と人類学とは、やはり切り離せないのだなあと思った。)
ハーマンは、「実在」そのものにはアクセスできないと考えるが、ガブリエルは、「意味の場」にあらわれる「意味」がそのまま実在であるとし、メイヤスーは数学によって実在とアクセス可能だとする。ただ、ガブリエルのいう「実在=意味」は、ハーマンのいう「感覚的オブジェクト」に限りなく近いように思われ(ぴったりとは重ならないが)、実在への直接的アクセスの問題を除けば、ガブリエルとハーマンはけっこう近いようにも思える。
この本にも書かれていたが、実在論の反対概念は唯名論であり、唯物論の反対概念は観念論である。ガブリエルもハーマンも、あくまで「実在論」であり、「唯物論」をはっきり批判している点も近い。