●横浜、日ノ出町シャノアールで『半島論』(響文社)の刊行イベント(前嵩西一馬、中村剛彦、中里勇太、古谷利裕)。小さなバーのようなスペースでこぢんまりとやる感じだとイメージしていたのだけど、会場は思ったよりゆったりとして広く、人もけっこうたくさん来てくれた(開場前に通り雨のような強い雨がいきなり降り出したのでどうなるかと思ったが)。出版社が用意した本は完売したそうで、販売促進のイベントとしてもよかったのではないいか。
予定としては、三人のパネラーが一人10分から15分くらいのプレゼンをして、それを受けて、司会の中里さんも含めて四人で話しをするということ(それと、ピアノの演奏と詩の朗読)だったのだけど、ありがちなことだけど、一人一人のプレゼンが長引いて、四人でトークできる時間はとても短かった。
とはいえ、(自分のした話が面白いかどうかは自分ではわからないが)それぞれのプレゼンはかなり面白かったのではないかと思う。ぼくは、面白いと思った。
●中村剛彦さんがテキストで書いているのだけど、三浦半島が東京(帝都)にとても近いことで横須賀が軍事的に非常に重要な港となり、そのために東京から岬の先まで兵器や兵士を輸送するための鉄道網が発達して、その鉄道網の発達の副産物のようにして、中央の文壇からやや距離を置きたい文学者たちが、三浦半島の根元である鎌倉に多く集まって(流れて)くることになった、と。まさに、近代、軍事、鉄道、文学、という関係がわかりやすく三浦半島に集約されているので、ここらへんの話はもう少し深く掘っても面白いのかなあと思った。
●あと、何日か前にYouTubeで、スリムクラブの沖縄ダークあるあるという動画を観て、なんというか、とてもモヤモヤした気持ちになった。これは、沖縄の人にしか分からない沖縄に親和的なネタでありつつ、しかし、全体のフレームとしては沖縄の人に向けられたネタではない---むしろ沖縄は異質な場所としていじられることで排除される(とはいえ、これは差異を提示することで行われるコミュニケーションともとれて、排除とまで言えるかどうかは微妙、しかし明らかにフレームとして中央集権的な構図ではある)---という複雑な構造をもつ、なんとも微妙な感じ。
沖縄県民だけ爆笑www スリムクラブ 沖縄ダークあるある 1/3〜3/3(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=V2awRzC2tnk
https://www.youtube.com/watch?v=W4dJ_BMLyEI
https://www.youtube.com/watch?v=hWbzjR55pHY
何かをあらわにすると同時に隠蔽し、解放すると同時に抑圧し、親和性を示すと同時に排除の身振りでもあり、権力への抵抗であると同時に従属の身振りでもあるというような、「笑い」というものの複雑で多義的な組成に触れるようで、このなんともモヤモヤする感じについて、前嵩西一馬さんの意見をお聞きしたかった。