2020-01-03

●自分が好きに決まっている映画を改めて観ることで、映画を観られるようになろうとするリハビリ中。『残菊物語(デジタル修復版)』(溝口健二)をU-NEXTで(DVDを持っているけど、配信で観られるならそっちの方が面倒でない)。

素晴らしいに決まっているが、素晴らしい。古くさい新派風の物語(歌舞伎俳優の話だが)が、映画というメディウムと出会うことでまったく新しい別物へと変質する。新派的な物語、新派の俳優、歌舞伎の舞台、それらのものを素材とすることで、映画が自分自身の潜在性を顕在化させる。その、変換する作用(あるいは、変換させる力)そのものをみているようだ。戦前の映画だが、その「変換作用」そのものの在りようは古くは感じられない。