2025-09-25

⚫︎何日か前の日記で、『解剖、幽霊、密室』(サイトウマド)というマンガについて書いて、そこで「コミックを買うことは稀なことだ」と書いたが、わりと最近、もう一冊、別のマンガを買っていたことをすっかり忘れていた。忘れていたのは、それが電子書籍であり目の前に物理的に存在しないこと、そして、それも、KindleではなくてU-NEXTの本棚にあることによる。今のところU-NEXTの本棚には、このマンガと、もう一冊『スピンとは何か』(村上洋一)というブルーバックスの本しかない。

そもそもこの二冊を買った理由が、使わないまま期限切れで失効してしまう直前のU-NEXTのポイントがあり、しかし映画をレンタルして観ている時間がなかったので、本を買っておけば後から読めると思って、U-NEXTで買える面白そうな本を急遽探して買ったのだった。U-NEXTの本棚の存在は普段から特に意識されてはいないので、買ったら安心して、そのまま意識から抜けてしまっていた。

この本を知ったのは、たしか山本浩貴さんのXで取り上げられていたからで、おそらく山本さんはこの本の刊行イベントに参加していたと思うが、その内容を深く追うこともなく、何となくさらっと上っ面を見ただけで、気になったのでタイトルを検索して、無料サンプルとして読める短編を一つ読んで、面白そうだと思って購入した。そしてそのまま忘れた。

『ツッパリ探偵怪人メルヘン心中』(龍村景一)。そういえば買いっぱなしで忘れていたと思い出して、気軽な気持ちで読み始めて、すぐに後悔した。これは、脳にガツンと重たい負荷のかかるやつで、気軽には読めないやつだ、と。でも、とんでもなく面白いのでやめられず、途中で何度か、息も絶え絶えという感じで休息を挟み、コーヒーをがぶ飲みして、何とか最後まで読んだら、頭の中に直接手を突っ込んで脳を揉みほぐしたくなるくらいに、頭の中が重たくどよーんと疲労していた。

改めてじっくり腰を据えて読み直す必要があるが、とにかく素晴らしかった。なかでもぼくは、「ツッパリヤンキー地獄録」と「メルヘンチックリアリティ」に強く惹かれた。最後にさらっと、それまでの作品とはやや視点の異なる、純文学風(?)の「BRAIN DAMAGE」が置かれているのも良い。「ツッパリヤンキー地獄録」は、ぼくがこの世界(この宇宙)に対して持っている「恐怖の幻想(もしこの宇宙がそのようなものだったらどうしようという強い恐怖に囚われて体が動かなくなることがある)」と、ほとんどぴったり重なっているということもあって驚いた。

虚構(フィクション)について、あるいは虚構と現実の抜き差しならない関係について、非常にユニークで先鋭的な表現を成立させていて、そしてそれは、とても新しく、かつ、強いリアリティを持つものであるように、ぼくには思われた。