08/02/05

●『電脳コイル』12話から14話をDVDで。この一つ前の11話から、12、13話と、お話の本流からはやや外れた、イリーガルに関するちょっとした三つのエピソードという感じ(イサコが出てこないし)。この三つの話のそれぞれがとても面白い。11話は、アニメとしてのイメージが面白いし、12話は、すべての登場人物の顔に「ヒゲ」を描き込みたいという、ほとんど教科書への落書きみたいなアイデアのレベルで面白い(ちょっと、藤子不二雄のSF短編みたいな話でもある)。そして13話はちょっといいお話になっていると同時に、この『電脳コイル』という作品の空間的なリアリティの厚みを感じさせるものだ。この、方向性の異なる三つのエピソードがそれぞれ面白いものであることによって、この作品の世界設定の奥深さというか、潜在的なもののひろがりを改めて感じる。このような「含まれているものの大きさ」を感じるのは、たんに設定が精密だということではなく、この作品世界の空間のあり様が、我々が普段現実的な空間から感じているものの奥にあるものと、響くところがあるからなのだと思う。
14話は、いままでの展開を総集編のように振り返りつつ、今後の展開を予感せるという、全体が予告編のようなつくり。長くつづくシリーズには、このような回も必要なのだろう。それにしても、の作品は細部にまでわたってかなり多量の伏線が散りばめられているのだなあと思った。伏線の張り過ぎは、終盤で作品そのものの運動を阻害してしまうことがあるので、そこがちょっと気になった。「電脳コイル」という言葉がはじめて出て来た。
あと、いままで基本的に子供(+お婆さん)だけの物語で、主要な登場人物でメガ婆を除いて最も年上なのが女子高生の「おばちゃん」だったのだが、はじめて大人の男性が絡んで来たのが、今後の展開にどう影響するのかも、ちょっと気になる。