●「トビウオって飛ぶと思います?」「トビウオだから飛ぶんじゃないですか」「トビウオが飛んでるところを見たことありますか」「いや、ないですけど」「ドビウオが飛ぶのって、イルカのジャンプみたいなのとは違ってて」「えっ、水面からピョンてジャンプするんじゃないんですか」「いや、もっと、グライダーみたいに、何百メートルも、ずっと飛ぶんです」「えっ、マジですか」「水面に着きそうになると、ヒレで水面を叩いて、持ち直してもっと先まで」「えっ、水面からピョン、ピョンって飛び出すくらいだと思ってた」「NHKの『ダーウィンが来た!』っていう番組で見たんですけど、これ再放送もあるんで...」、という話をしていた時に思い出していたのは、「鳥人間コンテスト」みたいなイメージと、『眼と太陽』(磯崎憲一郎)の次の部分だった。《ミアと私はとくに何を話すわけでもなかった。憶えているのは、たとえばこんな会話だ。「フライングフィッシュ、とびうおというお魚は、ほんとうにいるの?」「もちろん、いる。いるどころか、私は食べたことだってある。刺身だ。」「羽がある?」「羽が生えているんだよ」「どの辺りから?」「背中だろう。いや、脇腹か」「とびうおは日本にいるの?」「日本にいるというか、海にいる」「メキシコにはいない?」「分からん、調べてみないと」「ケリーがそんな魚はいないというから、私は絶対いるといって、クレヨンを折ったんだ」》その人は、携帯電話を取り出して、何かを調べていて、その番組の再放送が四日の深夜(五日の早朝)の三時にあると教えてくれた。あと、同じ番組で前に見たのだけど、カバは、水上では瞼が重たくて、目が細いけど、水中ではカッと目を見開いていて、はっきりした顔立ちで、まるで「別人」みたいだ、とも言っていた。
で、たった今まで、その番組を観ていた。本当に飛んでいた。飛んでいる姿も凄いけど、何より、離陸(離水)する瞬間のからだの動きと瞬発力が凄い。水中から空中へと飛び出す力!。
●ちょっと前に、「十年前から偽日記を読んでます」という人にお会いしたのだが、「でも、偽日記はまだ、はじめてから十年経ってないですよ」と言った。いや、これは、その人を非難しているのでも揶揄しているのでもなく、ずっと読み続けていただいてとてもありがたいし、実際、偽日記をはじめてから大雑把に言えば十年くらいにはなる。99年の11月5日からはじまったこの日記は、今日でまる九年つづいたことになって、明日から十年目に入ることになるのだった。
●ここ、三、四日、電話も留守電もファックスもまったくない(でも、そんなことは普通にあるのだが)と思っていたら、電話機が壊れていた。ちょっと前に、コーヒーをこぼしてしまって、ヤバいと思ったのだが、しかしその直後は普通に機能していたので、大丈夫だと思ったら、いつの間にか壊れていた。あまり使わないとしても、電話機はやはり必要なので、買い替えなければならず、また出費が....。