●「鉄血のオルフェンズ」が最終話だった(とはいえ、九月から二期がはじまるみたいだけど)。最初にあった、これから何かすごいものを見せられるんじゃないか、という気配というか期待は後半になって消えてしまって、ただ、鉄華団は地球にたどり着けるのか、蒔苗をエドモンドまで連れてゆくことができるのか、という興味で引っ張るだけの話になってしまったように思う。いろいろ消化不良というか、竜頭蛇尾というか……。
ギャラルホルンの内紛全体が、最終回の「この場面」で「こいつ」を出して主人公を救うためのご都合主義的な前フリのように感じてしまったし、鉄華団の過激な家族主義がどのような帰結をもたらすのかという点についても、いろいろあって何人も死んでしまったけど、結果として上手くいったのでよかったね、みたいな、ふわっとした感じになってしまっている(いったん、かなりヤバい精神状態にまで踏み込んでいるのに、仕事が成功したとたんに無邪気な子供に戻る、とか、あり得るのか?)。汚れ仕事をいとわず、感情を揺るがすことなく平然と人を殺すこともできる三日月というキャラクターのヤバいところも充分には描かれず、無口で無愛想だけど土壇場で必ず結果を出す頼れるすごい奴、みたいな無難な落としどころに納まってしまっていた。三日月とオルガの関係にしても、もう一歩踏み込んだ描写があってよかったのではないか。それに、一見、鉄華団の頼れる兄貴みたいなタービンズや、その背後に控えているマフィアであるテイワズの無視できないブラックな側面や陰謀についても、匂わす程度にしか描かれていない。
(細かいことを言うと、たとえばフミタンというキャラは謎めいていて、もっと複雑な事情や複雑な感情を抱えた存在なのかと思ってみていたら、抱えている事情は案外単純で、感情としても深みに欠ける感じで、しかもあっさりと死んでしまって、肩すかし感がすごかった。)
要するに、様々な要素を盛り込むだけ盛り込んでおいて、そのなかのなに一つとして充分に展開し切らないままで(深いところまで掘り下げられることなく)、なんとなく納まりのいいところに納まって終わった、という感じ。後半、かなりテンションが落ちたにもかかわらず最後まで観つづけたのは、最初のところであれだけ大見得を切ったのだから、盛り込んだものが多すぎるので全てを充分に展開してみせるのは無理だとしても、何か一つくらいはやり切って(踏み込んで)みせてくれるのではないかと思っていたからなのだけど、どれも中途半端なままの、ふわっとした終わり方だった。いろんなものをちょいちょいつまみ食いしているうちに、満足感のないまま満腹になってしまった、みたいな。長く長く続く物語のプロローグの部分で、25話かけてまずはモチーフを提示しただけ、ということなら分からなくもないけど。
最初の部分を観た時は、「進撃の巨人」に対抗するような、一線を越えてしまった人たちを描く強い(強迫的な)物語を示そうとしているのかと思ったのだけど、最後まで観たら、キャラに萌えるために、その設定として物語が付随しているという感じの作品なのかなあ、という感想になった(そもそも、ぼくの「期待の仕方」が間違っていたのかも)。ある極限的な状況のなかで、選択の余地なく「一線を越えて(手を汚して)しまった」という事柄を、通りのよい「成長」という言葉で置き換えてしまっているように感じた。