●ツタヤで見つけて『昼も夜も』(塩田明彦)をDVDで観た。新作なのかと思ったら、2014年にウェブ配信用につくられたものがソフト化されたらしい。だが、正直ぼくにはあまり面白いとは思えなかった。初期の、『露出狂の女』とか『どこまでもいこう』みたいなキレがなくて(ぼくは高校生の時にPFFで学生時代の塩田監督の八ミリ映画『ファララ』を観て大変ショックを受けたりもしているのだけど)、映画が映画をなぞっているという感じを受けてしまった。たとえば、ヒロインが唐突に自転車を池に落としてしまう場面とか、「あー(括弧つきの)『映画』っぽい」と思ってしまった。ヒロイン像が(というか全体的に)、七十年代の映画ならこれでも成り立つのかもしれないけど…、という古さを感じもしてしまった。
ただ、最近の日本映画を観て思うのは、若手の俳優がすばらしいということ。『散歩する侵略者』(黒沢清)にしても、映画としては不満があるのだけど、若い俳優は皆すばらしかったし、『昼も夜も』も若い俳優はすばらしい。
●『ろんぐ・ぐっどばい 探偵 古井栗之助』(いまおかしんじ)もDVDを借りて観た。ハードボイルドという形式は、不思議と古くならないものなのだなあと思った。ハードボイルドは、紋切り型の物語をベースにしていて、あみだくじのように偶発的に物事が連鎖し、事の顛末(全体像)としてはルーズであいまいな部分も残るのだけど、登場人物の面白さとか、登場人物同士の関係、その都度での出来事の面白さがあればそれでよくて、エンタメ的でありつつも、「謎」や「物語」より人物や背景の質感それ自体が際立つ形式なのだなあと思った。
ただ、面白いのだけど、いまおかしんじ色は薄いという気もした。これは完全にぼくの趣味の問題だけど、ピンク映画ではなく一般映画だとしても、(というか、こういう作品だからこそ)主演は吉岡睦雄でいってほしかった、と。
●そういえば、ツタヤに『旧支配者のキャロル』(高橋洋)が新作として置いてあって驚いた。映画美学校製作の映画がツタヤに置かれるルートができたのだろうか。