●「早稲田文学 2021年秋号」に掲載される小説「ライオンは寝ている」のタイトルは、もちろんThe Tokens の「The Lion Sleeps Tonight」からきているのだけど、この曲をはじめて知ったのは、「ライオンは起きている」というタイトルで日本語カバーされたバージョンで、それはビートたけし主演の『刑事ヨロシク』(1982年)というドラマの主題歌に使われていた。オリジナル曲を知ったのはもっと後で、たしか大瀧詠一がパーソナリティをしているラジオ番組でこの曲がかかり、大瀧詠一が「ライオンは寝ている、起きてない」と曲紹介した時だった。大瀧詠一の声やこの時の抑揚も含めて、「ライオンは寝ている、起きてない」という言葉(発語)を、なぜかその後もずっと憶えているのだった。曲そのものより、この時の大瀧詠一のフレーズの印象が強く残った。
The Tokens - The Lion Sleeps Tonight (Wimoweh) (Audio)
https://www.youtube.com/watch?v=OQlByoPdG6c
ライオンは起きている ''The Lion Sleeps Tonight?''
https://www.youtube.com/watch?v=6CLw1EwrBWU
(ウィキペディアをみたら、トーケンズが必ずしもオリジナルということではなく、「Mbube」(ズールー語でライオンの意味)というタイトルの原曲があるようだ。)
●『刑事ヨロシク』は久世光彦演出のドラマだった。久世光彦は、TBS時代はヒットメーカーだったが、退社後は、どちらかというとひねった(ひねりすぎた)マイナーな感じのドラマをつくる人という印象になった。『刑事ヨロシク』も、野心的ではあってもそんなに面白いとは思えず、人気的にもいまいちだったように記憶している。ただ、ぼくは、久世光彦が『刑事ヨロシク』の翌年に演出した『あとは寝るだけ』というドラマ(これも人気はあまりなかったと思う)が大好きだった(好きだったという以外のことはあまり憶えていないが)。三木のり平、堺正章、樋口可南子といった人が主役だが、脇役として小劇場系の俳優(東京乾電池とか東京ボードビルショー)がテレビに進出しはじめたくらいの時期だと思う。このドラマに出ていた、まだほとんど無名だった小泉今日子がすばらしくよかったという印象が残っている。
(というか、このドラマの放映中に人気が急激に上がった感じで---それは、このドラマが原因だということではまったくないのだが---だから、ドラマがはじまった時点ではほとんど無名だったということだと思う、おお、こんな人がいるのかと驚いた記憶がある。)
(こうやって思い出すと、当時---八十年代前半---はびっくりするくらいテレビをたくさん見ていたのだなあと思う。面白くても、面白くなくても、とりあえず見ていたのだなあ、と。)
●YouTubeに、こんな動画があった。
あとは寝るだけ