2021-10-29

●noteのVECTIONアカウントに投稿した「苦痛のトレーサビリティで組織を改善する」の英語版をMirrorに投稿した。そしてこれはARWEAVEにも登録されており、原理的には永遠に残る。

Implementing Pain Tracing Blockchain into Organizations

https://mirror.xyz/0x8B754F13f971A59fa05d1B5EA7830860c7C110af/vCDLvvHSQ67w_glfxUeC9ma7cJ0mIq2pdUTE8dljwmk

VECTION (Mirror)

https://mirror.xyz/0x8B754F13f971A59fa05d1B5EA7830860c7C110af

苦痛トークンで重要なのは、何が悪いとか、誰が悪いとか言う必要がなく(何が悪いのか、誰が悪いのかが分からないままでも)、とにかく苦痛なのだということが匿名で表現できるというところにある。

例えば「告発」ならば(たとえ匿名で行われるにしろ)、何が悪い、誰が悪いということを特定し、それを言う必要がある。何かや誰かを攻撃するのは気が重いし、言ったからには一定の責任を負うことになる。また、匿名でない場合、誰が悪いと言うと必ず、その「誰か」を支持する人たちから攻撃される。それら、気の重さや面倒くささや攻撃されるリスクなどを背負った上で、告発することを「決意する」必要がある。ただでさえ苦痛があるのに、決意へと至るまで、それに加えて気の重さや逡巡や覚悟を背負うという精神的重圧が加算されてしまう。そして、(匿名でない場合は特にそうだが)告発後にそれはさらに増すかもしれない。それら諸々を越えて告発に至る人の勇気は賞賛されるべきだし、尊敬もする。しかし、すべての人々にそのような立派な人であることを強いるのは酷だと思う。このような「告発」へのハードルの高さが、好ましくない環境の温存に寄与してしまう。

(あるいは、スラップ訴訟のような、「告発のハードルの高さ」を悪用して発言を封じようとする手法もある。)

「つらい」という愚痴を、「特定の何かや誰かを非難するという責任」をともなうことなく発することができ、それが数値化され、(第三者の意図によって歪ませられることなく)蓄積され、表現として形にもなる。そしてそれを元に組織が(人の権限によってではなく、自動的に)変化していく。ここで問題になるのは、「誰かの責任を問う(悪い奴をやっつける)」ことではない。「つらさ」を表現する(表に出す)ことであり、その(匿名的な)表現を通じて「つらい」環境を自動的に変えていくことだ。その時に、責任や主体性を特に問わないという特徴をもつ。