⚫︎黒沢清の『ビューティフル・ニュー・ベイエリア・プロジェクト』という30分程度の短編をウェブで観る機会を得た。初めて観たし、作品の存在も知らなかった。2013年の作品。香港国際電影節協会 監製というクレジットに、芸大の修了制作というクレジットもあり、どういう経緯で作られたのかはわからない。ロケ地は横浜のようだ。
『Seventh Code』(2014年)の前年に作られた映画で、同様に、女性が中心となるフィジカルな格闘アクションがある映画だ。格闘するアクション場面が主体の映画だとは思えない感じで始まり、途中で唐突に格闘シーンが始まるという点も同じ。ただ、『Seventh Code』では、映画の最後の最後になっていきなり本格格闘アクションが始まって驚くのだが、『ビューティフル…』では、映画の中程で唐突にフィジカルな格闘が始まり、最後の10分はそのまま丸々アクションシーンのみで構成される。
(もしかすると、制作中止になった『一九〇五』で本格的な格闘シーンを考えており、そのための習作みたいな感じがあったのかもしれない。その後の黒沢清には、ここまでの本格的な、直接接触するフィジカルな格闘アクションは見られない、と思う。)
ただ、正直ぼくは、アクションが始まってちょっとがっかりした。それは、黒沢清のアクション演出がダメだということではない(ぼくは別にアクション映画通ではないし)。それまでの、何が始まるのか、どこに着地するのかわからないような、キーンと耳鳴りが続くような不思議なテンションの持続がとても面白かったので(オシャレな湾岸オフィスにネズミが出て、社員たちが逃げ惑うシーンとか、すごく面白い)、なんだ、結局「ジャンル映画」に着地するのか、というか、前半の面白いところは結局これを導くための導出部分だったのか、と思ってしまった。