2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

2021-06-30

●なんとなく観たのだったが、「100分de名著」の「旧約聖書」の回が、すごく面白かった。「イスラエルの民にとっての唯一神」だったヤハウェが、どういう歴史的、思想的経緯で、「創造主としての唯一神」に発展していったのかとか、律法(掟)を介して神と直接…

2021-06-29

●寝る前に、酒飲み番組を観ながら酒を飲む。今は、U-NEXTで配信されている、森脇健児の「孤島酒場」という番組を観ている。タイトル通りに、森脇健児が孤島に行って酒を飲むという内容で、第一回目が伊豆諸島にある青ヶ島という島だった。ここはまず見た目の…

2021-06-28

●実は、はじめて読んだ『灯台へ』は、地元の(とても狭いが品揃えが独自だった)古本屋で買った開明書院という出版社から出ている伊東只正という人が訳したもので、当時は、ヴァージニア・ウルフという名前も知らなくて、完全にジャケ買いというか、タイトルと…

2021-06-27

●確率の雲は、相互作用によってのみ、そして、その作用の相手に対してのみ「具体化」する。『時間は存在しない』、第五章「時間の最小単位」より引用。 (こういうことが「常識」になることで、社会は変わるのではないかと思う。この本にも書かれているが、ニ…

2021-06-26

●『時間は存在しない』(カルロ・ロベェッリ)を読んでいる。この本の第一部に書かれていることは、現在の物理学が描き出す世界像が我々のもつ常識といかに食い違っているかということで、すでに多くの物理学の啓蒙書に書かれていることとほぼ変わらない。内容…

2021-06-25

●熱、エントロピー、統計、時間の方向。下のような文章を読むと、確率や統計では実在(このモノの特異性)はとらえられないという考え方が、いかに信用できないかものかと思ってしまう。むしろ、統計こそが実在(という概念)を可能にしているのではないか。以下…

2021-06-24

●『あの頃。』を観ていて、柄にもなく自分の「青春」というものを考えていた。自分の生涯でもっとも「青春」っぽかった時期はいつだろうと振り返ると、おそらく九十年代後半だと思われる。九十年代後半は、年齢としては二十代の終わりから三十代のはじめで、…

2021-06-23

●『あの頃。』(今泉力哉)を観た。全体としては「友達が死ぬ」話なのだなと思った。「大豆田とわ子」も、友達が死ぬ話だったなあ、と。友達が死ぬ映画としてぼくがまず思うのはいまおかしんじなので、この映画にいまおかしんじが出てくる事に納得した。 (いま…

2021-06-22

●25日の多摩美の講義のために、自分の本を読み直している。読み直すとは、ただ再読するということだけではなく、自分が書いたものから、書いた時には意識していなかった別の可能性(別の文脈)を読みだそうとしているということ。

2021-06-21

●夏至。この時期、ほんの一時間でも散歩する時間があることは幸福だ(散歩のたびに、今日が雨じゃなくてよかったと思う)。初夏の夕方の巨木の佇まいには特別なものがある。

2021-06-20

●お知らせ。VECTIONによる権力分立についてのエッセイ、第5回をアップしました。 三権分立の脆弱性を修正する(Part IV):三権分立は政府の構造 https://spotlight.soy/detail?article_id=4jhzomlnq Fixing Vulnerabilities in the Tripartite Separation of …

2021-06-19

●一筆書きで描かれた顔、その三。

2021-06-18

●すっかり「大豆田とわ子」に夢中になって放置してしまっていた『ゴジラ S.P』を最終話まで一気に観た。こちらもすばらしく面白かった。 (そもそもゴジラの存在は物理的に不可能→仮にゴジラが実在できるとすればそれはこの宇宙の物理法則の危機→ゴジラ=特異…

2021-06-17

●散歩していて、動揺してしまうくらいに強い既視感に襲われた。既視感という言い方は正確ではないか。今、住んでいるのは生まれ育った地元で、地形も風景も良く知っている。よく知っているはずの風景のなかに、今まで見逃していたものを発見して、あれ、こん…

2021-06-16

●マルクス・ガブリエルが「世界は存在しない」と言うときの「存在しない」と、ラカンが「女なるものは存在しない」と言うときの「存在しない」は同じ意味ではないかと思った。マルクス・ガブリエルは、存在するすべてのものを包括し得るような普遍的な「世界…

2021-06-15

●『大豆田とわ子と三人の元夫』、最終回。すばらしかった。ただ、最後に三人の元夫たちがひたすら松たか子を持ち上げる一連の流れ(夢のような夢)は、もう少しさらっと描かれてもよかったのではないか(ぼくはあのような場面ではひたすら気恥ずかしいので)とは…

2021-06-14

●お知らせ。VECTIONによる権力分立についてのエッセイ、第4回目をアップしました。 三権分立の脆弱性を修正する(Part III, 2/2):レイヤー間の制御と矢印の向き https://spotlight.soy/detail?article_id=mqok4m0mc Fixing Vulnerabilities in the Tripartit…

2021-06-13

●考えてみれば、(最終回前なので保留が必要だが)『大豆田とわ子と三人の元夫』は、主要な登場人物のすべての恋愛が上手くいかないという、徹底したアンチ恋愛ドラマなのだった。松たか子も、三人の元夫も、オダギリジョーも、立ち去った三人の女たちも、岡…

2021-06-12

●なんで、芥川賞も三島賞も、鴻池留衣を無視しつづけるのだろうか。ここ一年半くらい、直近三作における鴻池留衣の飛躍と充実は驚くべきものだと思う。 「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」が芥川賞の候補作となったが、選考委員からほぼ理解されなかったと…

2021-06-11

●一筆書きで描かれた顔、その二。

2021-06-10

●いわゆる「名セリフ」が好きではない。だが『大豆田とわ子と三人の元夫』には、きら星のように至る所に名セリフが散りばめられている。もし、これらの名セリフを文字で読んだら(たとえば小説などに書かれていたら)、シラケてしまってそのままそっと本を閉じ…

2021-06-09

●『大豆田とわ子と三人の元夫』、第九話。毎回すばらしいけど今回は特に良かった。小津とか成瀬とか、ほとんどそういうくらいのものを観せられている感じがする。小津や成瀬が現役だった時、彼らの映画を封切りで観に行っていた映画好きの人たちがリアルタイ…

2021-06-08

●一筆書きで描かれた顔。

2021-06-07

●「計算する」という行為のもつ独自の不思議さがある。計算は、決定論的な予測不能性というものを我々に思い知らせる。たとえば、思いつきで適当に「32568+14325-7832」という単純な式を考えてみる。この答えは、当然だが計算する前から既に決まっている。…

2021-06-06

●『今ここにある危機とぼくの好感度について』、最終話をようやく観た。松坂桃李のビルドゥングスロマンだと思っていたら、実は松重豊のビルドゥングスロマンだった、と(松坂と松重はいわば、二人で一組のデコボココンビでもある)。五話全体としての流れは、…

2021-06-05

●お知らせ。先週は更新できませんでしたが、VECTIONによる権力分立についてのエッセイ、第3回目をアップしました。このあたりから、ちょっと面白くなりはじめているはず。 三権分立の脆弱性を修正する(Part III, 1/2):「世界」の入った3レイヤーサイクル(S…

2021-06-04

●『佐々木、イン、マイマイン』に引用されていたテネシー・ウィリアムズの戯曲「ロング・グッドバイ」(「現代演劇テキスト集」より)。オリジナルで「おふくろ」となっているところが、映画では、物語の内容に合わせて「おやじ」に書き換えられていた。 ジョ…

2021-06-03

●U-NEXTで『佐々木、イン、マイマイン』(内山拓也)を観た。良かった。観はじめた当初は、正直これはキツいかも、と思った。ホモソ的な男の子ノリで、パッとしない現在と、輝かしかった高校の日々が対比され、そこに佐々木という、はやし立てるとすぐ全裸にな…

2021-06-02

●『大豆田とわ子と三人の元夫』、第八話。ずっとアンチ恋愛ドラマだったこの作品だが、ここでベタに恋愛ドラマ展開になる。これが、複数の可能性が並立するパラレルワールド的世界から、排他的な決定論的世界へと移行したということの意味なのだろう。松たか…

2021-06-01

●『現実界に向かって』(ニコラ・フルリー)、第四章「現実界に向かって」を読んだ。いわゆる、フロイト-ラカン的な精神分析に対して、そこから「折り返してきた」かのような、晩年のラカンによる「サントームに至る逆方向の分析」について書かれる。ここで書…